この7月から和歌山県に奉職している公務員は知事部局で平均7.3%、(課長級以上 9.77%、課長補佐・係長級 7.77%、一般職員 4.77%)の給料を引き下げます。私の給料も副知事とともに20%の引き下げにいたしました。
これは、新政権が選挙中からの公約を忠実に守って地方公務員の給料を国家公務員並みに引き下げて、その引き下げ総額に見合う地方交付税をカットすると言うことを実行したからです。
ご承知とは思いますが、国家公務員の給料は平成24年度と平成25年度の2年間平均7.8%カットされました。理由は、東日本大震災の復興財源に協力するためということでしたが、当時議論されていた国家公務員の労働権の拡充との見合いという観点があったということが言われています。その時も政府(民主党政権でしたが)は、地方もこれにならえとの意向を示しましたが、地方側はそれは話が違うと言って同意しませんでした。
というのも、平成13年から平成23年ぐらいで見ると、地方公務員の平均給料は364,879円から341,745円に下がっていて、また、度重なる公務員数の縮減によって総人件費(職員給)は21.3%も下がっているのに、国の方はこれにほとんど手を付けず、引き下げ巾はわずか3.5%、人件費の縮減はこれまでずっとさぼってきたという実態があります。それなのに、急に給料カットをして、お前たちも下げろと言うのは理にかなっていません。
一方、東日本大震災の復興に協力してくれと言うのは、我々としても拒絶出来ないところもあります。そのために交付税を削減させてくれと言う主張には抗えないものもあります。しかし、そちらが目的なら、そのために給料を下げろとまで言う必要はなく、交付税はカットするからつじつまはそれぞれの地方公共団体で合わせろという方がスマートだと私は思うのです。
現に、県は収入の方は国の言うように交付税収入を落とし、支出の方は公務員給与をいじらないで予算を組んでみても、十分それが可能な財政の状態だったのです。しかし、政府に交付税のカットは給料カット見合いと強く言われてしまったので、このままだと県民全体の財布の中身を公務員が給料を下げずに頂いてしまうことになるという論理になりますので、県庁職員の理解を得て、地方交付税が減った分は全額公務員給与を下げて穴埋めすることにさせてもらったのです。職員組合をはじめ理解してくれた職員一同に頭を下げています。
さらに、和歌山のような地方圏では、地方公務員の購買力が地方経済に占めるウェイトが大きいことから、給料カットが公務員の各家計の支出切り詰めに結びつき、消費が落ち込んで景気が悪くなるという懸念が大変大きいと私は思います。デフレ効果です。安倍政権では、他の政策は、すべてデフレを退治して、緩やかな物価上昇をもたらすように考えられているのに、これだけは逆効果です。「アベノミクス」(私はこの言葉はレーガノミクスみたいに軽くて好きではありませんが)の足を引っ張ったらどうするのでしょう。
以上の事を、私は何度も何度も政権の中枢の人々に申し上げましたが、聞き入れてはくれませんでした。
今回の結果は、私としては、頑張ってくれている県職員のためにも、経済政策の行方をを心配する上でも不本意ですが、やむを得ないとは言え給料切り下げ措置を我慢してくれた県職員の全員にお詫びと謝意を申し上げたいと思います。その上で給料を下げておいて本来言いうる権利もありませんが、和歌山の景気を悪くしないように必要以上の支出切り詰めは止めてほしいと念ずるのみです。
来年度は、これは絶対にやめないといけません。私も既に行動に移しています。総務省を始め政府への要望活動は既に開始しています。この間も甘利経済担当大臣が和歌山にお越しになった時にこれだけはと強く申し上げておきました。政府中枢の方々へもこれからも働きかけをしていきたいと思います。