今年のノーベル賞の医学・生理学賞を、大隅良典さんが受賞されました。「すべての動植物に備わる生命活動の基本となる仕組み=オートファジー」の研究だそうです。TVでよく出てくるのを拝見する度に、人柄とかが滲み出て業績の中身以上に立派な人だなあと尊敬の気持ちがわきます。
大隅さんの偉さは、人のやらないことだけど本当に興味のわく事に没頭した事と報じられています。不易流行を追わずです。
大隅さんは子どもの頃から人がやるからと言って追随するのは嫌いだったと報じられました。私ごときに比べると大変不遜ですが、私は子どもの頃はどうも付和雷同型だったような気がするのですが、役人時代でも、今の職業に就いて、使命感が出てくるにつれ、皆が言うからと流れに乗っておけというような、付和雷同はやめようと思っています。公共調達のやり方でも、「コンクリートから人へ」が流行ったときの高速道路建設運動でも、地方分権でも、事業仕分けでも、オスプレイでも、原子力発電でも、ひとたび時の世論が定まって、大きな波がきても、付和雷同することなく、結構それに反対の事を述べたりもしてきました。そうすると、何だと世の中からたたかれ、KY(空気が読めない)だと非難され、我が身を守るためにはいささか損をする事が多いのです。大勢に順応して「そうだ、そうだ」と言うのが楽なのです。
でもやはり、損をしても、いささか間違った事がまかり通りそうなら、少なくとも論理的且つ実証的にその誤りを正す義務が、私のような公職に就いている人にはあると思っています。
偉そうに述べましたが、間違った事は、時間を経るに従って、ブームが去り、いつかそれを唱える人もいなくなります。ただ、ブームに終わらないで、間違った事が、どんどん進んで日本や和歌山を滅ぼしてしまう危険性もある事は、戦前の出来事を振り返ればよくわかることです。従って、一人一人が余り軽々しく皆が言うから、マスコミが世論だと言うからといって「そうだ、そうだ」というのを我慢して、そうしたらどうなるかちょっと考えてみる事が大事だと思います。