大津波

選挙でしばらく、「仁坂吉伸の思い」をお休みしていましたが、これからまた毎週がんばります。

 知事就任以来、頭の中に付きまとって離れなかったのが東南海・南海地震とそれによって起こる大津波のことでした。今後30年の間に起きる確立は60~70%、我が県の被害想定では死者5,000人という恐ろしい数字が出ています。だから、それを軽減するために、公共施設の耐震化、住宅の倒壊防止、避難路・避難タワーの整備、防潮堤の強化、海岸線を走る国道42号線に代わるいのちの道路(高速道路、X軸ネットワークなど)の早期整備など、あせる気持ちで進めてきたわけです。
 その最中、和歌山ではなく、東北地方太平洋岸で、あの大地震と大津波が起こってしまいました。想像を絶する大被害で被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。しかし、それで済むわけではありません。我が県でも漁業関係者にかなりの被害が出ていますので、これらの対応も必要ですが、それ以上に東北地方の被害を見て同じ日本人として、これを支援・救援しなければなりません。県では、大急ぎで支援対策本部を立ち上げて専門家の派遣、県民の皆さんからの協力とりまとめも含めた救援物資の送付に加え、被災者の一時引き受けを開始しました。和歌山県をあげての対応に加えて、関西広域連合としても7府県が相協力して行動しています。県民の皆さん、和歌山県民の温かい心を示して差し上げましょう。並行して東南海・南海地震に対する当県の対応が、今までのもので良かったのか、もう一度被害想定から見直して、より安全なものに改める必要があるかの見直しを開始しました。
 このような時、人を救う任にある人々の献身と長たるものの勇気と智力が試されます。自衛隊や警察、消防、医療チームの方々の努力には頭が下がります。現地の知事や市長、町長さん方は実に立派です。奥さんが行方不明の中で懸命に住民のために頑張っておられるある町長さんの姿は涙なしには見られません。私も和歌山県の司令官として、日頃から覚悟を決めておかねばならぬと改めて思いました。それにしても、日本全体がこの戦後最大の危機を乗り越えなければならない時には、国の最高司令官は、野党の党首に担当大臣になってほしいなどと頼むのではなく、すべてを背負って指令を出し続けるぞという気概を示してもらいたいと思います。