私も今や、政治家でありますが、政治家のよく使う言葉で「しっかりと」という言葉があります。「○○についてはしっかりと調査して、その対応についてはしっかりと措置していく所存であります」といった具合に使います。人によっては、「しっかりと」のかわりに「きっちりと」という言葉をよく使う人もいます。
この間政府が主催する知事会があって、野田総理が各知事からの要望や意見に答えました。知事たちの主張をちゃんと聞いて、そのすべてに誠実に対応され、もれなく答弁をされましたが、その中でも「しっかりと」という言葉が大変多く使われていました。途中で気付いたので、何回お使いになったか数えていなかったのが残念です。
思いますに、この「しっかりと」という言葉を使うと、具体的に対応方法を述べないでも、聞き手が十分誠実に対応してくれるのだという気分になる効果があるような気がします。「しっかりとがんばってくれる」ように思わせる効果があるのです。
しかし、物事の解決のために本当に大事なのは、具体的な対応方法であり、「しっかりと」やるというかけ声ではありません。
そのためには、具体的な解法を見出す能力と知識がないといけませんし、その解法を実行するためのスキルがまた必要だし、さらには、そのための不屈の意思とこれを実行する際に協力してくれる人々を動員しうる人望もないといけません。
それらがない時でも、ともすれば、「しっかりとやる」という一声だけで聴者は納得してしまいがちです。さらにはそう言った政治家自身も安心してしまって、その後の真摯な対応を怠る原因ともなってしまうおそれすらあると私は思います。
それでは、問題の解決になりません。「しっかりと」と言うだけの政治家を戴いている国民や県民や市民は不幸です。
したがって私は「しっかりと」と言う以外の方法で、県政をリードしたいと思います。