岡本白浜後援会会長のご冥福をお祈りいたします

 白浜の後援会の会長をして下さっていた岡本重之さんが11月24日に亡くなられました。11月7日脳出血で倒れられ、すぐお見舞いに駆けつけましたが、脳幹に大きな出血があるとのことで意識が戻られることなく、天国に旅立たれたのです。社業もご子息に譲られ商工会会長も後進に引き継がれ、これからは少しのんびりという時に、また、秋の叙勲で旭日単光章を受章され、あと少しで皇居にというまさにその時に病魔に襲われたのは、誠に残念であります。ご本人はもちろん、ご遺族の方々のご無念にも心からご哀悼申し上げます。
 岡本さんは県及び白浜町にとっても大変な功績のある方ですが、私にとっても大恩人で、白浜町の後援会長として皆さんをおまとめになり、心血を注いでご支援下さいました。その分余計ご苦労をかけたのではないかと心の痛む思いがします。岡本さんのご冥福をお祈りするとともに、そのご恩に報いるためにも、しっかり勤めを果たして参りたいと思います。
 以下、ご葬儀で読ませていただいた弔辞を掲げさせていただきます。

 本日、ここに、故岡本重之様の告別式が厳かに執り行われるにあたり、謹んで御霊前に哀悼の誠をお捧げいたします。
 岡本重之様、お元気であったあなたが、突然の病に倒れられたと知ったのはつい先日のことでした。
 お見舞いにも伺い、一日も早い回復をお祈りしておりましたが、今、あなたに、このように惜別の辞を申さねばならないのは、本当に残念なことであります。

 昭和11年9月29日に、あなたは、この世に生を受けられました。昭和30年に和歌山県立田辺高等学校をご卒業後、大阪の衣料会社に就職され、商業経営の研鑽に努められました。
 そして、昭和40年にふるさとに戻られ、丸双蒲鉾店を創業。昭和57年には法人化して有限会社丸双蒲鉾店を設立し代表取締役に就任され、以来、30年にわたり、優れた経営手腕を発揮され、事業の発展を図られてきました。
 また、あなたの活躍は本業だけにとどまりません。平成2年に白浜町商工会の理事に就任されて以来、商工会事業にも積極的に参画されてきました。平成10年には、商工会館建設委員に就任され、会員の念願であった会館の建設に尽力されました。
 そして、平成16年に全会員から一致した推挙を受け、白浜町商工会長に就任されました。会長として、地域商工業の発展と振興に尽くした功績は、一言では言い尽くせないものがございます。
 就任時より、「役職員が一致団結し、地域活性と魅力あるまちづくり」を合言葉に、持ち前の行動力と旺盛な研究心を持って、経営改善事業と地域振興事業を両輪とした商工会活動に取り組み、その業績を重ねてこられました。
 特に、全国有数の観光地として歴史を重ねてきた白浜町の発展を願い、行政機関や他の経済団体と連携協調した取り組みに、情熱を注がれました。幻の魚といわれる「クエ」を中心とした「白浜の食のブランド化」に取り組まれ、イベントでは、自らが率先してクエ料理を来場者に振る舞うなどして、事業を牽引されました。今では、クエ料理は白浜の新たな名物としてすっかり定着しております。
 さらには、観光客へのおもてなしを徹底するために「オール白浜ここでしかできない旅実行委員会」の発足に取り組み、会長に就任されました。観光客の受入体制の整備や新しい観光メニューの開発など、まちぐるみでのおもてなしを推進し、観光地白浜の発展に貢献されました。
 また、観光産業に求められる「安全・安心」の環境づくりにも積極的に取り組まれ、「暴力団等反社会的勢力排除宣言」を商工会の総代会において議決されました。これは、後に施行されました「和歌山県暴力団排除条例」に先駆けた取り組みでありました。
 そうしたご活躍が高い評価を受けて、先日、栄えある旭日単光章を受章されたことは、ひとしく皆様の知るところでございます。
あなたの永年にわたる地域の商工業振興へのご貢献に対し、県民を代表し、心から感謝を申し上げます。
 あなたは、また、にさか吉伸白浜後援会会長として、政治家たる私の活動をお支えくださいました。二度目の選挙の際、様々なご支援、ご尽力をいただき、私はこうして、再度県政の舵取り役を担うことができました。改めまして、深く感謝申し上げます。
 私は、今、あなたのお顔を思い出し、あなたとの語らいに思いをはせ、あなたのお人柄を心から懐かしく思っているところでございます。
 あなたは、人情味が厚く、清廉潔白な方でした。そして、公共に奉仕することを第一として、地域社会の発展のために心血を注がれ、「責任はわしが取る」の一言を持って、様々な事業の推進を後押しされてきました。その決断力と統率力は、地域の人々から絶大な信望を集められ、慕われてきました。これからも私たちは、そのお姿を忘れることは決してございません。

 喪主をはじめご遺族の方々におかれましては、故人の重ねられた人生を想い、もっと穏やかな時間を共に過ごしていきたかったという特別なお気持ちがおありだと存じます。人の世の定めとは申せ、この度のお別れがあまりにも早かったが故に、返すがえすも残念でなりません。
 これからは、残された私たちが岡本様の故郷に対する想いを大切にし、この故郷を素晴らしいものとするため、一層力を入れて取り組んでいかねばならないと思います。どうか「和歌山」の発展をお見守り下さい。
 お名残は尽きません。
 岡本重之様 本当にありがとうございました。どうか安らかにお眠りください。

平成24年11月26日

        和歌山県知事 仁坂 吉伸