春だ、花だ

 今年は桜がいつになく見事だったと思います。ソメイヨシノは例年より早く咲きましたが、開花後、寒い日もあって4月上旬はたっぷり楽しめました。
 恒例の紀三井寺における後援会幹部の新家さんが主催する観桜会(というより飲み会)は4月4日に開かれましたが、例年よりも桜そのものも楽しめたと思いますし、4月6日にブラジル県人会の皆さんと同所にお迎えした観桜会もまだ十分桜が残っていて、せっかく桜に合わせて地球の裏側から来て下さった方々に十分楽しんでいただけたものと思います。この4月6日まで桜が残っているようずっとお祈りしていたのですが、願いが叶って本当に良かったと思います。
 ソメイヨシノに先立ち、山肌は各種の山桜によって次々と彩られます。桜のピンクや所々にある山の畑の梨の白、新緑の黄色、黄緑、緑と次々と変わっていく山肌は、車窓から見ていても本当に綺麗で心が浮き立ちます。私の子どもの頃は、伐採して少々はげ山風であった名草山や和泉山脈が様々な樹木が成長して、どんどん美しい木の山になりつつあるようです。

 今年は高野山開創1200年のすばらしい法会が高野山で繰り広げられていて、多くの人がお見えになり、私も何度と足を運ばせていただく段取りですが、多くの知識人が高野山の本を書いて、どんどん送ってきて下さいます。高野山中門の再建に当たられた宮大工の尾上恵治さんの「世界遺産マスターが語る高野山」(新評論)はものすごい蘊蓄の固まりでもありますし、日野西眞定さんの「高野山の秘密」(扶桑社)もそうであったのかという新発見のたくさんある好著です。
 後者の中でおもしろい記述がありました。私たち日本人は中国の大陰暦、西洋の太陽暦のほか、自然暦とでもいうべき暦を伝統的に探っていた。その中で昔の人は厳しい冬を過ごし、また新しい「花」が咲く春を新しい年が巡ってきたと感じ、これが正月であった。だから「はな」という言葉には「花」と「はなから」などと使われるように「最初」「一番先」という意味も込められている…と書かれてありました。

 私は春が好きでして、春から夏になっていく時は心が浮き浮きします。秋から冬よりもずっと好きです。だって春から夏は昆虫採集の季節でもありますからね。