まちづくりと農地

最近、全国至る所でまちがさびれて困るという話をよく聞きます。和歌山県も例外ではなく、中心市街地や商店街の衰退が顕著ですが、かつての新興住宅地でも段々と衰退が進んでいるように見えます。和歌山市などは全国の中でもこの傾向が最もひどいようにも思います。

この原因の一つは、長い間に都市が外側に広がって、都市の面積だけがやけに広くなったという事にあります。そうなると中々旧市街地に土地需要が向かないし、需給バランスが崩れて土地の資産価値が下がり、広い地域で市道や下水道を作らなければならない市町村の財政が大変になります。高度成長によって人口が増え、土地供給も増やさなければ市民生活が苦しいという時代はともかく、そろそろ、まちの外延的拡大を止めて、弱った所にもう一度土地需要をつけて、再開発などにより、まちを再活性化させなければなりません。郊外の農地も、少し転用を本来の形に厳しくして、優良農地は守るようにしなければ農業の発展にも支障が出ます。農地転用によって虫食い状態が進むと土地改良事業などが中々出来ないし、残った農家の負担が大きくなります。

ヨーロッパなどは、こういう考えでずっとまちと農地を守ってきたので、日本の地方のようにまちがスカスカになっている所はあまりありません。本来なら、都市計画法と農地法、農振法により日本のまちもヨーロッパのようになるはずなのですが、日本では運用があまりにもゆるすぎたので、以上のような事態になっているのです。

本来はもっとずっと前からそうしておくべきだったと思いますが、和歌山県では、この面での政策に着手し始めています。一般には農地転用を少し厳しく運用する一方、市町村がこういうまちの形にしたいと考える時は都市計画を上手く活用して市街化を進めようという区域を作り、そこでは転用も認めていこうというわけです。これまでは自由自在に農地転用をしてお金を得ることができたのに、それができなくなったという方の不満は痛いほど分かるのですが、これからのまちづくりと農業の発展そして農家の生活のためにどうしてもやっておかなければならない政策であると思い、市町村長さんをはじめ、市町村の方々と議論をしているところです。