やったぜ!みかん産出額首位奪取

 この度、農林水産省生産農業所得統計が出て、平成27年産みかんの産出額が発表され、和歌山県が首位になりました。
 実は和歌山県はみかんの生産は日本一と言ってきましたが、それはトン数で表す生産量の事で、単価が安いので産出額では静岡県の後塵を拝していたわけです。農家にとっては、大事な事は農業をして、良いものを作って、どう収入を上げるかという事ですから、こういう傾向はおもしろくありません。和歌山県の農業者は、重いものをえっこらと出荷して、お金は少ししかもらえないというような状態だったのです。
 近年、これでは腹が立つ、何故和歌山県のかくもおいしいみかんでお金をたくさんもらえないのだと、色々研究をしました。すると、色々と分かってきたのです。例えば、愛媛県では県の農協がビシッと統一方針を出していて、生果で出荷をする時は、厳格な糖度コントロールを敷いていて、その代わり、市場で高く評価してもらい、今一つのみかんはポンジュースの原料に回し、その分収入が減る農家には農業全体で補償するという方式をずっと昔から取っていました。
 和歌山県ではその辺のコントロールをしないで市場に出すものだから、いわば味噌も糞も一緒という評価を市場でされて、いい値を付けてもらえないという状況だったのです。
 和歌山県で愛媛県のようにできないのは、主体となる農協が県の単一農協ではなくて、各地で分かれているという事もあったかもしれません。そこで、ええい!この際と、県が乗り出すことにし、農協と組んで「厳選みかん」という方式を編み出しました。各選果場では厳密な糖度コントロールを行い、一定の糖度のものだけ「厳選みかん」というラベルを貼る事を許す事にし、糖度の足りないものは、ラベルなしで出してもらうか、加工に回し、その際農協だけではなく、県もお金を出して補償をするという事にしたのです。その代わり、厳選みかんはいい値を付けて下さいよと市場関係者に働きかけをしました。これは大いに功を奏し、早速他県以上の単価アップにつながり、結果として産出額日本一を達成する事に繋がったのです。
 やったぜ!という気分であります。

 しかし、これで十分満足かというとそうではありません。販売単価では、まだ静岡県にはかないません。それどころか、あちこちにまだ負けていて今でも7位です。これまた調べてみると、和歌山県産は遅めの極早生と早生のあたりに出荷が集中し、生産出荷が終わりに近づいていて、市場に品薄感が出てくる頃に、静岡産の晩生が出てきていい値段を取っていくようです。したがって今晩生に対応できるような新種みかんを県の研究所で開発していて、これを普及させていこうという事になっています。
 県の担当者が先日うれしそうに産出額日本一達成という報告をしに来てくれて、さらに「かくなる上は三冠王を目指してまっしぐらです。」と叫んでいるので何の事だと問いただすと、「後は販売単価でも一位を目指します。そうすると、生産量、販売単価、産出額の3つで三冠王です。もう既に28年産の価格上昇は他県以上ですので、首位との差は縮まりつつあります。」と張り切っています。

 また、愛媛県はみかんの生産量や販売額では、和歌山県の後塵を拝していますが、晩柑類などを入れた柑橘全体ではその産出額は和歌山県を抑えて日本一です。その原因としては、営々と愛媛県の研究所が立派な新種柑橘を世に問い続けてきたからという事もあるでしょう。和歌山県の研究所はここでも負けていました。そこで、ここ数年来、いくつかある県の農業系の研究所にてこ入れをし、農業者のニーズに沿った研究をし、研究費も倍増して研究者に頑張ってもらう事にしましたのです。いずれ色んな新品種も加えて幅の広い柑橘生産が可能となっていくでしょう。
 輸出の機会も伺わないといけませんし、有力な加工品も続々と出来つつあります。みんなで力を合わせて頑張りましょう。