4年前知事選に立候補するに当たり、キャッチフレーズとかスローガンとかを何にするかと聞かれた時、私は「和歌山を元気に」としようとすぐに応じました。和歌山生まれの和歌山育ちの私にとって、その時の和歌山は昔日の栄光を失い、元気をなくしているように映じたからです。ましてや、度重なる和歌山市の不祥事に加え、とうとう県知事まで逮捕されるに至り、我が愛する県民の皆さんの無念さと落胆たるやいかばかりかと思ったからです。
当選後の私の知事としての4年近くは、この「和歌山を元気に」するという公約を果たすために「元気にする」ための具体的な政策を考え出し、練り上げ、実行することに明け暮れたといってもよいと思います。このような改革は遅れることがあれば、それだけ悪い方向へ事態は進んで行くのですから許されません。しかし、急いで改革をするという事はあちこちで辛さも生じます。最近の県の行政報告会でお示ししているように(別紙参照)このようなチェンジ(改革)は200に近づこうとしています。そのために、私も必死で手を打ってきたし、県庁の職員も歯を食いしばってがんばってくれたし、県民の方々もよく理解してくれたと思います。それは嵐の中で沈むかもしれないと呻吟している船の水を汲み出し、あちらを修理したり、こちらのマシンを取り替えたりと走り回っている乗組員に似ています。まだまだ油断はできません。だから改革をやめるわけにはいかないのです。必死で努力をし、思いつく限りの有効な手を打って、少しでも効くものであればそれを実行し続けなければなりません。
ところが、このところ、私の専売特許のはずの「和歌山を元気に」のお仲間が次々と現れました。「○○を元気に」というキャッチフレーズが日本中にあふれています。最近の和歌山市長選挙でもオレンジ色(知事選挙の時の仁坂カラー)の「元気な・・・つくる会」というのぼりを持った方が街角に立っておられてドキッとしました。それでよく見ると「元気な市政をつくる会」でした。一番あ然としたのは6月11日の菅首相の所信表明でした。「私の内閣が果たすべき使命は、二十年近く続く閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させることです。」 また、最近県庁前近くに次の知事選に私の対抗馬として立候補を表明している方の選挙事務所と思われる建物が出来ました。そこに大きな看板がかかっていて「景気 やる気 元気」と書いてありました。 こういうのは先出願者に権利があるという知的所有権のような主張はできませんので、どうしようもありません。
とは言え、本当に大事なことは、どこをどう治すと元気になるか、そのためには、どういう政策手段を用意して、しかもそれをやっても他が無茶苦茶にならないかをちゃんと見極めて、具体的な効果を出すために、どういう方法で実行していくかです。すなわち、そのような「技術」がないと政治や行政は動かないということです。前にも書いたように、あれもしたい、これもして上げたいという気持ちを持つということは大事なことです。しかし、「そうしたい」「して上げたい」という気持ちだけでは何一つ実現しないのです。むしろ、国家と人々が困るだけだということを、ほんの少し前の総理が見せ付けてくれたではありませんか。
【 和歌山県の改革(チェンジ) 】 (別紙)
[清潔な県政]
○公共調達制度改革(公共調達検討委員会)
○和歌山県職員倫理規則制定
○県庁職員の再就職状況の届出・公表制度導入
○監察査察制度の導入と監察査察監の採用
○知事の活動、公費支出の状況を県庁ホームページで全面公開
[県政運営]
○年間通じての政策の現状を点検し、新たな政策を検討する新政策制度の導入
○和歌山県長期総合計画を策定
○新行財政改革推進プラン策定
人権費削減(職員数▲990人)、 事務事業見直し(▲150億)、
投資的経費抑制(▲3%/年)等により、5年間をかけて「赤字ゼロ」に
○事務事業見直し(事業仕分け)
○和歌山県行政報告会を開始
○権限型の組織から、「任務」を意識した行動を促すよう任務型組織に変更
○ヘッドクォーター制度の導入(たて割行政の弊害除去)
○産業別担当者制度の構築
○振興局地域別担当者の配置
○知事記者会見の毎週化と熱インターネット動画配信開始
○県外向け広報誌「和(なごみ)」の発刊
○インターネット放送局の開局
○パスポートの日曜申請受け付け開始 ○出納長、知事公室長、審議監廃止(知事周辺のスリム化) ○職員採用制度改革(特別枠採用の実施、年令要件引き上げ) ○若手職員100名程度を毎年約1ヶ月間民間企業に派遣 ○海外、中央官庁など、外部出向の大幅増.市町村との人事交流 ○市町村への権限移譲(22年度から) ○県と市町村の役割分担明確化のため、県事業に対する市町村負担金を原則廃止(22年度から)
[教育・文化] ○個別指導や放課後学習、学習相談など、きめ細かな「補充学習」を実施 ○教員の教育技術や指導力強化のため、「授業改善支援チーム」を県内各校へ派遣 ○道徳教育(市民性教育)を強化 ○きのくに共育コミュニティ ○高卒就職希望者と地元企業のミスマッチをなくすため、就職指導を徹底
応募前職場見学の徹底、長期企業実習.就職支援相談員の設置 等
○郷土教育を強化 ○新宮港を地球深部探査船「ちきゅう」の母港化 ○きらめき“夢”トークを開始(憧れの有名人と高校生の対話) ○きのくにロボットフェスティバルを開催 ○ネットパトロール事業を開始 ○困難を抱えた青少年への支援
・大学生サポーター等を活用した非行少年等の立ち直り支援
・ワンストップの総合相談窓口(ウィズ・ユー)を設置
○学校へ見回り(学校支援サポーター配置) ○特別支援教育の推進(看護師の派遣等) ○リサイクル図書寄贈ボランティア活動を開始 ○県美術展覧会改革(県立近代美術館で顕彰) ○和歌山県文化芸術振興条例を制定 ○国体関連
・競技会場地市町村の選定、県有施設の整備計画決定
・和歌山県競技力向上戦略 ~スタート2010プログラム~ 実施
・きのくにスポーツフェスティバル
総合開会式と各市町村での「わがまちスポーツ」イペント開催 等
○和歌山セーリングセンターをナショナルトレーニングセンターに ○ゴールデンキッズ発掘プロジェクト ○小学校・保育所・幼稚園運動場の芝生化 ○青少年の国際交流再開 ○世界遺産への追加登録を目標に、参詣道沿いの文化遺産の文化財指定を促進
[福祉・医療] ○紀州3人っこ施策・妊婦健診費助成・特定不妊治療費助成・乳幼児一時預かり制度 ○小規模ファミリーサポートセンター等子育て環境整備を支援 ○周産期母子医療センターの設備を充実 医大、紀南病院 等 ○児童家庭支援センター開設 ○和歌山県子どもを虐待から守る条例制定 ○地域高齢者等への支援対策創設(高齢者等が支え合う見守り・助け合い) ○介護職員の確保を図るため、介護職員の賃金等処遇改善に取り組む事業者を支援
○県立医科大学の入学枠を拡大(入学定員60名→100名)教員大幅増 ○福祉の総合相談窓口を県庁本庁、各振興局、各市町村に設置 ○一次救急から三次救急に至る救急医療機関の設備を充実
医大、日赤、南和歌山医療センター 等
○県立医科大学に高度医療人育成センター開設 ○県立医科大学紀北分院のリニューアル ○那智勝浦町立温泉病院に「スポーツ・温泉医学研究所」を開設 ○フォルテワジマに「みらい医療推進センター」を開設 ○日赤和歌山医療センターのリニューアル ○看護職員の確保を図るため、潜在看護職員の復職支援を実施
登録システム構築、再就業希望者への研修 等
○和歌山県がん対策推進計画を策定 ○がん診療連携拠点病院を中心とする医療機関の整備 ○こころの健康相談統一ダイヤルを開始 ○和歌山県自殺対策情報センターを設置
[地域づくり] ○わがまち元気プロジェクトを展開(産業振興+まちづくり) ○わかやま版「過疎集落支援総合対策」を実施
「過疎生活圏」という新たな考え方をもとに、過疎集落の再生・活性化を支援
○田舎暮らし応援県わかやまを売出し ○移住者の受け入れを促進するため、空き家改修補助を創設 ○過疎地でのコミュニティバス等導入、IT利用による買い物支援 ○和歌山県景観条例制定 ○和歌山県ふるさと大使制度をスタート ○ふるさと和歌山応援寄附スタート ○けやき大通りの再生のため検討委員会を設立
[経済・産業] ○企業誘致に本格着手(新たに77社の企業立地が決定) ○紀北橋本エコヒルズの造成 ○和歌山県知的財産戦略を策定
○和歌山県新技術創出推進条例を制定
○和歌山県産業技術戦略会議を設置
○和歌山県産業技術基本計画を策定 ~「産学官連携チームワークNo.1」を目指して~
○先駆的な産業技術開発を支援
先駆的な、全国に打って出る技術の開発・実用化を支援
エ業技術センターの運営体制の強化
○県内建設業の競争力強化のため、技術力の向上、新技術の開発を支援 ○発明の祭典inわかやま開催 ○和歌山県優良県産品(プレミア和歌山)推奨制度の制定と販路拡大支援 ○海外・国内の著名な展示会への出展等による販売促進活動を支援
わかやま産品販路開拓アクションプログラム2010を策定
○ 経済危機に対応した中小企業向け県融資制度の見直し ○将来の景気回復に向けての設備投資を促進する融資制度を拡充 ○わかやま中小企業元気ファンド(80億円)の創設 ○わかやま農商エ連携ファンド(20億円)の創設 ○ 和歌山で働きませんか1プロジェクトを実施 ○和歌山で農業しませんか1プロジェクトを実施 ○和歌山で福祉・医療の仕事をしませんか1プロジェクトを実施 ○『和歌山で「和」の仕事人になろう』プロジェクトを実施
[農林水産業]
○和歌山県晨水産物・カロエ食品の販売促進戦略 アクションプログラムを策定 ○うめ需給・販売プロジェクトを策定 ○産品商談会で大阪に進出 東京FOODEXに全国自治体最大の和歌山県ブース ○海外で和歌山フェア等開催、主要海外見本市へ出展
○食品メーカーとの協働開始(パンダパン、かほり梅、かっぱえびせん 黒煎り七味 等)
○メディアを活用した販売促進(TVショッピング、マンガ) ○食品流通課設置 ○新農林水産業戦略プロジェクトを展開(地域ぐるみで生産から販売まで) ○農業緊急戦略アクションプログラムを策定 ○わかやま農産物安心プラス認証制度を創設(安全のダブルチェック) ○森林・林業局設置 ○紀州材生産販売プランを策定 ○企業の森 目標100(現在53) ○第62回全国植樹祭平成23年春季開催決定 ○水産業活性化アクションプログラムを策定 ○鳥獣害防止のための規制緩和 ○高齢化に対応した作業しやすい園地整備を支援
農業用モノレールの乗用タイプへの切り替え 等
[ 観光 ] ○商工観光労働部一観光局を設置 ○和歌山県観光振興アクションプログラムを策定 ○世界遺産5周年プロモーション事業(国内外) ○高野・熊野スタンプラリー ○ 霧の郷たかばらオープン ○本宮に世界遺産センター ○ほんまもん体験観光・修学旅行PR ○観光トッセールス (東京、大阪、名古屋、札幌、スベイン、フランス、イタリア、中国等) ○「和歌山県勲功爵」(わかやまでナイト)制度を創設(第1号 たま駅長) ○パンダ売出し作戦(映画「パンダフルライフ」等)
[環 境] ○住宅用太陽光発電設備に補助制度を導入(全国に先駆け) ○新エネルギーの導入促進(太陽光発電、風力発電、バイオマス燃料等) ○県立自然公園の抜本的見直し ○レジ袋の無料配布を中止する協定を締結 ○産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例制定 ○森林による二酸化炭素吸収等環境保全活動認証制度創設 ○トラックの排出ガス低減対策助成
[安全安心] ○和歌山県防災対策推進条例制定 ○4広域防災拠点決定 ○津波から「逃げ切る!」支援対策プログラム策定 ○海南地区津波浸水対策事業(直轄事業)事業化決定 ○木造住宅耐震化促進補助金の要件緩和 ○ 木造住宅耐震化、家具の固定、ブロック塀安全対策等の減災効果が高い取り組みを推進
○わかやま透析安心メールを開始 ○全孤立想定集落への防災無線等通信手段の配備 ○要援護者施設に対する、防災無線受信端末等の整備を支援 ○へリテレシステムを整備
○和歌山県消防広域化推進計画の策定 ○消費生活相談体制の強化
相談・啓発の担い手となる消費生活サポーターの養成
土曜日の電話相談の開設
[公共インフラ] ○和歌山県道路懇談会 ○近畿自動車道紀勢線みなく田辺間・京奈和自動車道橋本道路・那智勝浦新宮道路開通. 近畿自動車道紀勢線海南有田間4車線化(22年度供用)
○近畿自動車道紀勢線田辺すさみ間、和歌山北インターチェンジ、京奈和自動車道紀北東道路及び紀北西道路着エ
○近畿自動車道紀勢線御坊田辺間4車線化決定(→H22.4.9着手見合わせ) ○湯浅御坊道路の4車線化の環境影響評価、都市計画手続きに着手 ○X軸ネットワークの早期完成 ○都市計画道路完成促進(西脇山口線等) ○第二阪和国道(和歌山岬道路)、国道480号鍋谷峠道路、国道42号
有田海南道路及び冷水拡幅、国道169号奥瀞道路(Ⅱ期)事業化決定
○「ぶつぶつと途切れた整備」から選択と集中による「繋ぐ道路整備」への転換 ○県内公共施設の事後保全から予防保全への転換(ポンプ場、橋梁等) ○南紀白浜空港の利用促進 特割3の導入、自家用機の長期駐機誘致 ○和歌山徳島航路を守るため、徳島県と共同で料金値下げ補助 ○和歌山県ブロードバンド基盤整備ロードマップ ○和歌山県携帯電話つながるプラン ○和歌山県地上デジタル放送難視解消ナビゲーター ○和歌山県プレジャーポートの係留保管の適正化に関する条例制定