「世界津波の日」2018高校生サミットin和歌山が11月1日に終了しました。
48カ国からの高校生約250人を含む400人近い高校生が和歌山市のビッグホエールに集まり、高校生自らの演出と進行で数々の行事が行われました。
28日から始まった稲むらの火祭りへの参加などスタディツアーの後、10月31日からの2日間は、いよいよ本番の高校生サミットです。私がオープニングで、君達はこのチャンスをそれぞれの国から与えられたエリートなのだから、濱口梧陵さんの行為に見られる真のエリートとしての責任に倣って、ここで地震、津波とその対策をよく学び、将来それぞれの国で人々を災害から救えと「檄」を飛ばしました。
その後、高校生諸君は、分科会に分かれ、皆で熱心に勉強し、討議し、自分達の考えをまとめて1日の総会で発表し、皆の総意として稲むらの火継承宣言をまとめました。
31日の夜はレセプションです。国籍を超えて仲良くはしゃぐ彼らの姿を見るのは楽しいものでした。1日の総会では、また和歌山県もお世話になっている津波防災の第一人者片田敏孝教授のお話も皆で聞きましたし、世界津波の日とこの高校生サミットの提唱者、二階俊博自由民主党幹事長を始め、関係各省の大臣(が国会審議中であったので)の代理の副大臣、政務官など多くのゲストが激励のメッセージを下さいました。安倍総理もビデオメッセージで、皆を励まして下さいました。
そしてフィナーレ、司会の中井充歩さん(日髙高校)、伊森安美さん(串本古座高校)によって、稲むらの火継承宣言が高々と読み上げられ、稲むらの火になぞられたペンライトが会場にあふれる中、中井さん、伊森さんがクロージングリマークをしました。あまり素晴らしく、涙が出てしまいました。雰囲気を壊さぬよう以下英文でそのまま引用します。(また、稲むらの火継承宣言も、これは日本語訳をして引用します。)
彼ら若者は見事に私の檄に応えてくれています。私は彼らに君達は世界の希望だと言いました。大丈夫のようです。彼らは我々の希望です。
Here at the ‘High School Students Summit on “World Tsunami Awareness Day” 2018 in Wakayama’, we have declared to carry forward the spirit of “Inamura-no-Hi” to the future.
To show our commitment to the spirit, in respect for the fire of rice sheaves, let’s hold up the torches!
At this summit, we have learned a lot of things which are valuable for all countries. The phrase “disaster prevention” means not only to protect our lives but also protect what is important for us. Please take back what you’ve learned at this summit to your local communities, and let’s prepare for future disasters. It is us, the Youth Ambassadors for World Tsunami Awareness Day, that take leadership in disaster prevention around the world. So, please don’t forget that we can change the world by taking action actively.
I hope this summit has given you a chance to deepen your understanding and friendship. I think we are now more prepared for an earthquake or tsunami and to help each other. We are really happy that you came here to our home prefecture in Wakayama. I hope you like it here and I hope we can make friends.
With fire as a symbol, the spirit of “Inamura-no-Hi” has spread to the hearts of us all here. Please keep the fire alive in your heart, and share the spirit with the people around you.
We have now reached the end of the ‘High School Students Summit on “World Tsunami Awareness Day” 2018 in Wakayama’.
Thank you very much for participating.
稲むらの火 継承宣言(日本語訳)
2015年12月の国連総会で11月5日が「世界津波の日」と制定されたのは、安政元年(1854年)11月5日、安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際、濱口梧陵が稲むらに火をつけ、村人を高台へ導いて、多くの命を救った「稲むらの火」の故事にちなんだものです。
その後、濱口梧陵は自らの財産を使って村の再生を支援し、将来の津波に備えて堤防を築き、この堤防は昭和21年(1946年)12月の昭和南海地震による津波の被害を最小限に抑えました。
これから私たちが、それぞれの国で防災活動に取り組むうえで、「稲むらの火」の故事に含まれる①人命救助、②地域の復旧・復興、③将来の災害への備え、の3つの要素を考えることは、非常に大切なことです。
本年、私たち世界48カ国の高校生は「稲むらの火」発祥の地である和歌山県に集まり、地震津波などの自然災害から命を守るため、私たちが何をするべきか、私たちに何が出来るかを話し合い、共有しました。
1 災害について知識を得る
○ 自然災害に対する備えができていないことが最も憂慮すべき問題であると考えました。
○ 生徒全員が学べるよう、自然災害に関する学習を学校のカリキュラムに取り入れ、実践するというアイデアを共有しました。
○ 地域住民全員と防災活動(避難訓練など)に取り組んでいきたいと思います。
2 災害に備え意識を高める
○ 災害は、地域ごとに異なる地理的特徴と関係があると考えました。
○ 被災者の話を聞くことにより、災害に対する備えの重要性について人々の意識を高めるためのアイデアを共有しました。
○ 防災情報の各種ツールについて学んだ上で、実際の避難時に人々の助けになるようなユニバーサルデザインの標識を設置する努力をしようと思います。
3 災害から生き抜く
○ 災害後の復旧・復興について、事前に計画を立てることが重要だと考えました。
○ 災害発生前・災害発生時・災害発生後の助け合いの重要性について、認識を共有しました。
○ 地域の年配者や専門家による講話またはハザードマップにより、自然災害のリスクを人々に伝え、災害時にパニックに陥らないよう明確なルールと計画を作成しようと思います。
世界中の防災意識をさらに向上させていくため、私たち若い世代が濱口梧陵をはじめとする偉大な先人の志を継承し、このサミットにおいて学んだ「災害から命を守る」ためになすべきことを、それぞれの国において、私たち一人一人が実践していく決意をここに宣言します。
2018年11月1日
「世界津波の日」2018高校生サミットin和歌山