ひとつずつ、ひとつずつ

 去る11月16日、串本でスペースワン(株)によるロケット発射場建設工事の起工式が行われました。3月26日の建設決定発表の直後からすぐ取付け道路の建設が始まり、2021年度中の初打上げに向け急ピッチで工事が進んでいます。射場の名称はスペースポート紀伊(SPK)となりました。技術開発による衛星の小型化は、これからの世界を変えるようなビジネスの展開が予想されます。その最先端の営みがわが和歌山県で進みつつあるというのはわくわくすることであります。
 ロケットだけではありません。白浜や田辺や和歌山市でもIT企業の集積が少しずつではありますが進みつつあります。白浜はまた和歌山県提唱のワーケーションの聖地となりつつあります。企業誘致も頑張っていたら累計221社になりました。県内企業も業績を伸ばして、色々な賞を取るものも続出しています。
 観光客は随分増え、特に高野山や熊野古道は外国人観光客に大人気です。日本遺産も5つになり、日本ジオパークも世界農業遺産も認定されました。みかんは売上日本一を奪還し、果実全体でも売上日本一を再び達成しました。遅れていた高速道路はどんどん伸び、今や完成率は全国並みとなりました。県内の幹線道路も府県間道路も主要市の幹線都市計画道路も、ひとつずつ、ひとつずつ完成しつつあります。ひとつずつ、ひとつずつなのであります。

 しかし、ひとつずつ、ひとつずつは、また一方、まだあれも、まだこれもであります。まだまだたゆまず、頑張り続けなければなりません。なぜなら、過去のつらかった時代の遺産はまだまだ和歌山の上に被(かぶ)さっています。高齢化が他より進んでしまった和歌山県は、これからも急激な人口減を覚悟しなければなりません。今はようやく生産力を回復してきた産業活動も担い手の高齢化とともに常に危機と直面しています。災害にも備えなければなりません。しかも、ぐずぐずしていたら、我々全員が確実に一歳一歳年をとっていくのです。それでもやはり、何にしても、いつの時代でもひとつずつ、ひとつずつです。皆で力を合わせて、積み重ねて行くしかありません。