新型コロナウィルス感染症対策(その10)-感染源不明と行動履歴調査-

 新型コロナウィルス感染症に関しては、和歌山市の庁内感染が拡大していないことがほぼ判明してやれやれと思っていましたら、今度は、京都産業大学のゼミ卒業祝賀会の参加者が一人和歌山で発症しました。家族は陰性で、濃厚接触者も少々広めにとっても陰性と出ましたが、感染者の行動履歴を徹底的にヒアリングして、濃厚接触者とはとても言えない人にも少しでも同じ場所にいたと思われる人に対しては、県内の人には県庁からお知らせして、異常の有無を調べ、将来異常が出たらすぐ連絡して下さるようネットワークを引いています。ここが和歌山県が特に努力しているところです。また、そのような人が県外にいた場合は、本人及びその地元の保健所に詳細な情報をお知らせをして注意を喚起することにしています。そうしたら、今回はこの感染者と同じ大部屋で聴講をしていた徳島県の人が発症していることが確認されました。他の大勢の人は全員今のところ異常はないので、変だなあと思うのですが、早く発見されて良かったと思います。さっそく徳島県の飯泉知事に迷惑をお掛けしましたと申しておきました。
 最近は大都市で感染が拡がっている感があり、もし大都市で感染爆発が起きたら、和歌山県も影響は当然出てくると思われますので、大いに懸念しています。その時よく報道されるのは、感染源の明らかでない感染がたくさんありますといったことです。そこだけ強調して言われるので、大都市の自治体の方はもっと多くのことを調べ、もっと多くの対策を採っているのに、それが伝わらないだけなのかもしれませんが、もし、感染源が分からない=感染拡大防止策が採れないという風に考えているとすると、それは感染爆発への第一歩だと思います。
 和歌山県でも最初の済生会有田病院の院内感染も感染源は分かりませんでした。その後の市役所職員のケースもそうです。しかし、和歌山県は、前者については周辺の徹底的な聞き込みを行って、「(当時ですから)外国人が滞在したり、入ってきたり、接したりしたことがありますか。ある場合は、体調に異常のある人はいませんか。なくても、仮にそれが出たらすぐ連絡下さい。」という調査を徹底してやりましたし、後者については、発症前後からの行動履歴ヒアリングを徹底的に行って、その接触先に同じようなヒアリングをかけまくったのであります。これが拡大をくい止めた秘訣です。
 したがって、全国的に何とか感染爆発をくい止めるためには、感染源不明で防遏努力を止めるというようなことは決してせず、感染者の行動履歴の徹底的なヒアリングとその対象先の徹底したトレースをして欲しいと思います。
 
 では感染源不明と発表するのは意味がないかというと、違うと思います。感染源が不明なのですから、今度は一般の市民が、うつりそうな所を避けなければいけないということが大事です。人々にそう思ってもらうプレッシャーが必要です。すなわち自粛要請です。
 別の見方をすると感染源不明と言うことは、自治体当局者が自粛要請をする重大なメルクマールになると思われ、現に、東京都、大阪府などはそのように訴えておられると思います。
 
 もう一度図式をしますと次のようになります。

 和歌山県では、まだ感染者がそう多くないので、引き続き感染者の行動履歴の徹底的ヒアリングと接触先へのヒアリングを通じて、感染者の拡大を必死で抑え込んでいきたいと思っています。他県でも頑張ってほしいと思います。
 そうは言っても、全国的に感染爆発が起これば、和歌山県だけは無縁とは言えないので、その時医療崩壊により多くの人命を失わせるということがないように、準備はしていますが、それはまだ申し上げる段階にはありません。そんな先のことばかり言っていると、関係者の間で拡大防止に対する熱意が失われてしまうと大変です。今はただひたすらに拡大防止の戦いが続きます。