新型コロナウィルス感染症対策(その43)-県民向けテレビメッセージ11/29-

 最近、また全国的にコロナがどんどん流行ってまいりまして、全国的にどうしたらよいかという議論が盛んになってきています。
 和歌山県でも、感染者が多くなってきていますので、県民の皆さんは、大変御心配のことと存じます。
 和歌山県はどうしてくれるのだと思っておられる方もいらっしゃると思います。そこで、11月29日現在での県の考え方や現状説明、さらには県民の皆様への新たなお願いをテレビ和歌山の11月29日「きのくに21」で申し述べました。
 放送をご覧にならなかった方や和歌山御在住でない方もいらっしゃると思いますので、改めて、下記の通り文章化してみました。ただし、どうも表現が上手でなかったところや、説明を加えないとわかりにくいと思うところもありましたので、加筆訂正をしました。
 なお、放送された動画は、県庁HPの「ようこそ知事室」の「知事と語る」https://www.pref.wakayama.lg.jp/chiji/taidan/taidan_backn.htmlでもう一度見ることもできます。

 『最近、全国的に、またコロナが再燃をいたしました。
全国的にも今までの中で一番感染が多い、という状態になっておりますし、和歌山県も、全国と比べるとやや程度は少ないけれども、今までの中で一番多いという感染の度合いになっています。決して油断ができないというような状況であります。
 世の中でこれについての議論が大きくなっておりますけれども、どういうふうに和歌山県は考えておるか、現時点での考えを皆さんにご説明をしておきたいと思います。

 まず和歌山県の最新の感染動向でございますが、このようになっておりまして、この赤い棒グラフは、1日の新規感染者であります。これが入院患者になって溜まってまいりますので、青い折れ線グラフの入院患者の数も、結構多くなって11月27日現在では、79名ということになっております。 今までの山の中では一番高いというふうにお分かりいただけると思います。

 その中で、第2波の時は若い人の割合が大きかったのですが、今回は再び高齢者の割合が高いということです。 高齢者は、体の弱い方も多いし、別の病気を持っておられる方もいらっしゃるので、これはちょっと大変だというのが、現状であります。

 地域的に感染者が多い所は、橋本保健所管内と、実は急に増えたのですけれども、海南保健所管内であります。
 この感染者の多い地域だけについてみると、人口10万人あたりの1週間の感染者が15人を超えているのでステージ3(感染が拡大している地域)の基準の一つを超えているのですが、あくまで一つ超えているということで、ステージの判断は他のいくつかの基準を見て知事が総合判断をすることになっています。この両地域も、現状ではステージ3まではいっていないと思います。

 こういう事態に対し和歌山県はどういうふうに考えておるかを申しますと、今、テレビや新聞や、政府の分科会のようなところで盛んに議論されているものとちょっと違います。そういうところでは、感染が拡大してきたのはGoToキャンペーンのせいだとか、もう停止せよとか、飲酒店の営業時間の短縮をどうするかとか、国民生活や事業活動をどう抑制するかばかり議論しています。我々の目標は、一つは、感染の拡大防止を図らなきゃいけないということだけれど、もう一つは、生きていかなきゃいけませんから、経済、生活の再生も図らなきゃいけないということです。
 目標に関しては、和歌山県はもちろんそうですが、菅総理の率いる日本国政府も同じで、それではこの二つの異なる目標をどうやったら達成できるかについて政策の手段をどうするかに大変悩んでいるという状況であろうかというふうに思います。
 問題はこのように二つの政策目標がある時に、国やマスコミで培われている政策手段が一つの種類しかないということであります。すなわち、行動や営業の制約をどうするかだけしかないということであります。皆さんも、テレビや新聞や、或いは政府の専門家会合なんかで議論されていることをご覧になっておられると、よく分かると思います。それで、GoToを止めると言わない菅総理を攻撃している、そういう図式だと思います。

 フリップにありますように、強い行動・営業の制約をいたしますと、感染の拡大防止には役に立ちます。しかし一方では、経済生活の再生はめちゃくちゃになるわけでございまして、緊急事態宣言がなされた、今年の4月、5月ぐらいの状況を見ていただいたらおわかりになろうと思います。ではめちゃくちゃになるのが怖くて、行動・営業の自粛などはほとんどしないようにしましょうというとどうなるかというと、経済生活の再生はあんまり邪魔はしないけれども、感染の拡大防止にはあんまり効かない、感染が拡大してしまう。そうすると皆が怖がって、経済・生活の再生も結局できない。こういうふうに右行ったり左行ったりして、大変混迷を深めているわけです。

 しかしよく考えたら、次のように考えたら、そんなに問題はないのではないかと思うのです。これは経済学の理論でも知られている方法なのですが、二つの政策目標があるならば、二つ以上の政策手段でやったらどうですかということでございます。

 これが和歌山県でやっていることなのですが、感染の拡大防止のためには、感染症法を使って、保健医療行政、保健所が活躍して、病院が協力して対応をするという政策手段をもう一つ投入すれば良いということなのです。
 具体的には徹底的に感染者の早期発見と早期隔離を行い、それから感染者の行動履歴の徹底的な調査と、そして、保健所の統一的な運用と、そういうことをきちんとやっていきますと、感染の拡大防止にはかなり役に立ちます。一方では、経済・生活の再生のために、十分な行動・営業をしていただくように、あんまり制限はしないということです。
 だけどそうは言っても、県民の皆さんが野放図に経済・生活を追求してもらうというのも困るので、必要な制限だけちょっとやるというようなことをやっていったらどうだというふうに考えているのが、和歌山県のやり方でございます。

 和歌山県も、実は緊急事態宣言の時は、政府に従って行動・営業の自粛を徹底的にやっていただきました。県をまたぐ移動制限も徹底的にやりました。その結果、感染はガタッと減ったのですが、経済はガタガタになりました。そして第1波が収まった後、色々と反省もし、どうしたら感染防止も、経済・生活の再生も出来るかを考えました。そしてこれしかないなと思いついて、今はそれを追求しているところです。実は第1波の時、一生懸命働きながら、ふと回りを、世界を見てみますと、医療技術も衛生観念も発達している欧米が感染の爆発を止められないのに対し、日本をはじめ東アジアの国々は結構うまく感染をコントロールしていることが分かりました。死者の数も随分違います。これは何故だと調べて分かったことは、何と、欧米は感染症法がなくて、保健所も日本のように陽性者を隔離できないということが分かったのです。だから、欧米は行動・営業の制限にだけ頼らざるを得ないということです。日本は感染症法も行動・営業の制限も両方使えるのに、賢いはずの専門家が自粛の是非しか言わないから感染は止まらなくて、経済にも責任のある菅総理が困るわけです。和歌山県では保健医療行政で感染を必死で抑えていますので感染者はポツポツと出るのですが、何とか爆発するところまで行かず、行動・営業の制限もぐっと我慢しましたので、経済の回復は多分日本有数だというふうに思います。

 そういうわけで、和歌山県はこの二つの手段を使って頑張っているのですが、今はやっぱり感染流行がちょっと大変というような時期になっているので、皆さんは大変御心配だろうと思いますので、現状を説明したいと思います。
 まずコロナになった時にちゃんと入院はできるのかという問題です。2月の済生会有田病院の頃に比べると、今医療提供体制は随分大きくなっています。コロナ患者に入っていただく病床はこんなに大きくなっています。

 11月27日現在入院患者は79人ということでございますけれども、現在の容量205床から見ても、半分にもなっていません。和歌山県は、東京などのように発症者を全部は入院させることが出来ず、多くのホテルや自宅療養、また入院までの自宅待機などは全くなく、すぐに全員入院していただくことにしていますが、それでも、この状況です。重症者用ベッドでも、40床が容量で現在の重症者はほんの数人ですから、これも余裕は十分あります。

 それから次に、PCRの検査体制はどうかと言うと、これも2月頃は非常に苦労してやっていたのですが、今は、普通にやっても1日700件ぐらいはできます。もちろんそんなに、やるニーズはないのですが。さらにいざとなったら、1日3800ぐらいできるということになっておりますので、ドタバタすることはないということでございます。

 それから早期発見のための制度も充実しました。はじめは和歌山県と国は大いに対立をしておりまして、和歌山県は風邪かコロナかよく分からなくてもクリニックに行っていただいて結構ですよと言っていました。お医者さんが診て、肺炎なんかになっている人はコロナを疑って、PCR検査をして、陽性か陰性か判定してもらえばいいのだから、どんどん行ってくださいと言っていたのですが、当時、国は、医療の混乱を避けるためだといって4日間、熱が高熱が続かなければ医者に行くなと言っていたわけです。それは明らかに間違っていたので、国は、考えを改めて、今、我々は一致しております。それがこのシステムです。

 すなわち、風邪かなと思うような方は、すぐにかかりつけ医に電話連絡をして、ちょっと心配なのですがと言っていただければ、今、実はこのかかりつけ医、クリニックでも、PCR検査がご自身でできるところが随分増えています。できないところは、できるところに紹介をしていただければいいわけです。それからかかりつけ医がないという方は、和歌山県のコールセンターに電話していただければちゃんとご案内をいたします。それで検査をしていただければいいので、躊躇なく、こういう検査を受けていただければいいということです。
 後で、もう一度ご説明しますが、我慢してお医者さんに行かない人がいます。お医者さんも、インフルエンザかなと思って、コロナを見逃してしまうことがありました。そうすると、ちょっと大変なことになるので、ぜひすぐにお医者さんに行っていただくように、かつ、お医者さんもまずコロナを疑っていただくようにお願いしたいと思います。

 次に最近の集団感染の例を申し上げます。一つはカラオケ大会。ダンスもやったようですが、それで感染が起こって、それでさらにその家族とか、それからその家族が行っているデイサービス利用者にどんどん感染が拡がってしまったというのがありました。2番目は、介護事業所の職員が感染していたのですが、症状が軽かったので仕事に行ってしまって利用者に感染し、さらに利用者の家族に感染をしてしまいました。3番目は居酒屋で飲食を通じて感染をして、お客さんの家族、或いはその友人などにどんどん感染が拡大をしてしまいました。それから、4番目は、建設現場の作業員宿舎内で感染が拡がってしまいました。このようなことが、最近起こりました。
 これはいずれも感染者が一桁ではなく二桁なので、最近の感染者数が増えた原因は、こういうところにもあるというふうにお考えいただいたらいいと思います。

 特に、私たちが問題にしているのは、高齢者の方です。高齢者の方は、やっぱり発症すると重症化しやすい。亡くなる方もいらっしゃいます。現にこの第3波で2人の方が亡くなられました。心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、死者が出るのは何とか避けたいと思うわけです。そのためにはどうしたらいいか。まず高齢者にうつる経緯ということを考えますと、一つは、高齢者自身が元気すぎたかなという場合があります。従って、高齢者は、カラオケ、ダンスなどの大規模な催し、室内で行う大規模な催しへの参加は、このご時勢だから止めて先送りしようかと考えていただければいいと思います。高齢者の活動を全部止めろということを言っているわけでは全然ありません。それからその次に感染している方が頑張ってしまってお医者さんに行かなくて、コロナの発見が遅れて、家族の高齢者にうつすケースがあります。従って、症状が出れば、通勤通学は控えて、直ちにクリニックに行っていただきたい。そうすると、今コロナがどんどん発見しやすくなっていますから、ぜひ躊躇なく行っていただきたいということでございます。それから一番怖いのは、病院とか、福祉施設、特に高齢者の福祉施設などに感染が拡がると、大変なことになります。従って、先ほど通勤、症状が出れば通勤通学を控えて、直ちにクリニックにと言いましたけれども、事業所の方でも、そういう発熱のある人は通勤は止めてくださいというふうにチェックしていただきたいのですが、事業所が病院、福祉施設・サービスの場合は、特に注意して欲しいということです。従業員の方も、経営者の方も両方気をつけていただきたいというふうに思います。
 それから、特別のお願いなのですが、医療・福祉施設の職員、従業員の方は、家族以外との会食をしばらくの間控えていただけませんかということです。そういう方がうつると、症状がないときも含めて、感染が医療・福祉施設に入ってしまうことがありますので、家族はいいと思いますが、特に今の季節だけご友人など家族以外の方がうつっている可能性がありますので会食は控えていただきたい。そういうお願いを、新たにしたいと思います。

 それから医療機関はまずコロナを疑ってもらいたいと思います。今結構感染が拡がっていますので、ただの風邪だ、インフルエンザだと決めつけないでくださいということです。
 そうしますと、県民の皆様へのお願いは今まで8箇条と言っておりましたが、上記のものが加わって、改めて整理をすると10箇条になりました。

 特に、大阪がとても流行っているということで、大阪に行くな、大阪で食事をするなというような注意をする県もあります。しかし、もともと和歌山県は従来のお願い8箇条の中で、特に感染が拡大している地域に出かけての会食や接待を伴った飲食しないようにと、ずっと言い続けてきました。これは今でも変わりません。すなわち、前々から先取りしていたということです。それから、遅くまで集団で会食、宿泊をしないということも当然続けるべきだと思います。それから新しく高齢者はカラオケ・ダンスなどの大規模な催しへの参加を控える。医療福祉施設の職員は家族以外との会食を控える。症状が出れば、通勤通学を控えて直ちにクリニックを受診する。事業所では発熱チェック、併せて、病院・福祉施設サービスは特に注意して欲しい。これらはずっと前から言ってきましたが、引き続きご注意いただきたいと思います。それからお店、サービスをする事業所では、感染拡大予防ガイドラインを遵守して欲しい。これは現在ただ今も大事なことです。そこで我々県庁はガイドラインの遵守調査に、全県に出掛けて行って、いろんなお店のチェックをしております。ご協力いただきたいと思っております。
 それから、濃厚接触者は、仮に検査で陰性でも、さらに注意をして欲しいと思います。濃厚接触者で、2週間経ってから発症したという人がいるのです。従って、1回目に陰性でも、あっ、なんか熱が出てきたぞ、でも陰性だったから大丈夫と、あんまり思い込まないで、もう1回すぐ保健所などに連絡をして、PCR検査を受けてもらいたいと思います。また、2週間は人にうつさないように、自宅で待機をしていただきたい、そんなふうに思います。それから、医療機関は、まずコロナを疑っていただきたいというのが10番目のお願いです。

 最後に申し上げますが、和歌山県は県外との関係がなければ生きていけない所です。コロナが流行っているので、県外との往来を止めよという方もいらっしゃるし、心配なお気持ちはよく分かるのですが、仮に、県外との接触を断って、県外からお買い物や観光に来る人を、全部シャットアウトしたらどうなるのかという計算をいたしますと、県民所得が5%一気にポンとなくなりますし、3万人の人があっという間に失業するというようなことになってしまいます。そうなると失業、生活苦、他の病気の悪化、健康障害など様々な悪影響が生じ、そのようないろんな原因で命を失わせてしまう可能性にもなりますから。経済か命かという二者択一というのは、私は賛成しないところであります。先ほど申し上げましたような方法で、すなわち保健医療で行政と医療が必死に感染拡大を防ぎますから、県民の皆さんは過度に神経質にならず、しかし、今回のお願いをはじめ10箇条を心がけて気をつけて生活や仕事をしていただくということで、しばらく頑張っていきたいと思います。
 従って、大阪やその他の所から来こられた方に対して、特別に敵意を持つというようなことはやめたいというふうに思っています。通勤や通学も注意して行っていただいたらいいと思います。
 さらに、あわせてコロナにかかった人、この人を差別をしたり、いじめをしたりするというのは、絶対にやめるべきだというふうに思います。また、医療関係者への不当な差別も絶対にいけません。これらの方々が頑張ってくださっているから、和歌山の感染はこの程度でとどまっているし、経済や生活もある程度守られているわけです。従って、そういう方に対して、偏見を持ったり、いじめをしたりするのはとんでもない話だ、というふうに思っておる次第です。和歌山県では現在、コロナ差別やいじめをやめましょうという条例を県議会に出しています。和歌山県の良識ある方々は、特にインターネットを通じて、コロナに関する差別やいじめなどをしないようにお願いをしたいと思います。』