新型コロナウイルス感染症対策(その68)-内外情勢調査会での講演-

 令和3年6月29日、私が支部長ということになっている内外情勢調査会で講演をしました。この調査会は、時事通信社が読者サービスという趣旨で各県毎で行っているものです。
 以下は、この講演をもとに、若干の語句の修正をして読みやすいように加工したものです。いささか長いのですがコロナについての包括的資料としては有用かもしれないと思いましたので、県庁HPの知事メッセージに載せさせていただきます。長いので、面白そうな部分の飛ばし読みをしていただいてもいいのではないかと思います。

 皆さんこんにちは。本日は、資料を用意しておりますので、それを基にしてご説明申し上げたいと思います。
 まず、「コロナで見えてきたもの」ということですが、大きく二つに分けてお話をすることにしました。一つは、コロナとの戦いですが、これは、コロナを抑えつけなきゃいけないんだけど、一方では人々の暮らしとか経済も大変なので、これをどういうふうにして持ちこたえていくかという議論です。それに続く形で、ワクチンをどういうふうにして打つかという問題があって、これと併せて前編としてお話しします。
 後編は、正にコロナで見えてきたものでございまして、コロナが収束するか、或いはwithコロナの状態で、今後どういうふうに世の中が変わっていくか、そういうことを見通して、それに対して和歌山県が挑戦していかなければならない、また、どういうふうに挑戦するかというような話をしたいと思っております。

 まず1ページ「コロナとの戦い」ですが、今まで四波ありましたが、第四波が非常に大変で、これはもう本当に大変でした。資料の右上の方に入院患者最大385人と書いてありますが、これはとんでもない数字で、実はその時の病院の収容可能病床数は400床だったと思います。
 第四波が始まったころは、270床ぐらいでしたが、これはいかんということで330床に増やして、370、400と増やし、さらに430床に増やしました。その時にはもうすでに減ってきたので、この辺でいいかなというぐらいの感じでしたが、最大470床まで用意することにしていました。結果論としては、まだまだ余裕があったのですが、この385人という数字は、病床を増やす話をしているときに、どんどん入院者が増えていくわけですから、本当に毎日ヒヤヒヤで、もういつオーバーするか、というぐらいの感じでした。それから、保健所の職員、福祉保健部の野尻技監を中心とする保健医療行政当局も、毎日徹夜に近い状態で、それでも健闘して何とか防ぎきってくれたということです。
 そんなことをもうちょっと詳しくお話ししたいのですが、ワクチンの接種率でスタートダッシュがよかったので、また和歌山県が全国的に有名になりました。済生会有田病院の時から、コロナ対策では和歌山県が時々有名になります。時々、私の顔もテレビなどで出てきますが、すぐ忘れられて、しばらくしたら、今度はワクチンの話題で出てきたというような感じです。
 よくマスコミなんかで、和歌山モデルとか言われるのですが、実際にはそうでもないような事を勝手に和歌山モデルにされてしまっているというのが現状です。全く間違いというわけではないのですが、いろいろなものの捉え方があります。よく、自分で何とかモデルだと言いたがる首長さんもいますが、私は良い格好しいじゃないので、あまり自分では何も言っていないわけです。

 そこで、資料の2ページ「A 国にさからう」です。批判精神が多いのがマスコミなので、国にさからって違うことをやろうとすると、偉いと言って結構もてはやされます。
 2番目、「B PCR検査をたくさんやる」、これは済生会有田病院の時に、病院関係者は全員検査だと私が命令して、470人を一度に検査したのですが、当時、余所で行われていたのは、一度で10人とか5人とかだったので、これは異例のことだということで、これだけたくさん検査して抑えるのが偉いというふうに言われたわけです。この時の海外の状況はというと、ヨーロッパでは、既にものすごく感染者が多かった。韓国なんかは大層なことはなかったのですが、PCR検査だけはものすごくいっぱいやっていた。だから「PCR検査をやったのが偉い。」ということでテレビに呼ばれ、実際に、「あなたはPCR検査をたくさんやったから偉い。」と言われたのですが、そこで、「そうです。」と言えば何度も出してくれたはずなんです。しかし、「いやあ、別にPCR検査って、やればいいというものでもないんですよ。検査をして陽性者を判定して隔離をする、さらに、その次の人の濃厚接触者なんかも検査をする。このように有効に使わないといけないので、PCR検査は必要ですけど、たくさんやればいいというものでもないんですよ。」と言ったら、次から呼んでくれなくなってしまいました。
 そのテレビで「国はけしからんですね」と言うから、「いやいや、済生会有田病院の時も、実は、検査キットが不足していたわけですが、国に頼むから送ってくれと言ったら、協力してくれましたよ。」とか、「国も一生懸命やっているんじゃないですか。」とか言ったら、次から呼んでくれなくなりました。次にテレビに呼んでくれたのは、ワクチン接種でスタートダッシュがよかったころで、最近は、また、あまり呼んでくれなくなっております。
 特に、PCR検査をたくさんやるということが、本当に役に立つのかということについては、役に立つけど、それだけに頼っていて周りをちゃんと見ていないと、逆効果とは言わないけど、人的資源の無駄遣いになって感染が防げませんというのが正しい答えではないかと思います。
 中国みたいに、組織的に検査をして人々の行動を制約することができるところは、組織的に全員検査するというのは、一時期はいいかもしれない。そこにいる人たちを一斉に検査していくのは社会的検査とよく言われるのですが、確かにこういうことをしたがる人がいるのです。しかし、一斉検査をしたところで、この感染症は陰性であった次の日に陽性になっている可能性があるので、キリがないんです。
 それの変形として言うと、世田谷モデルというのがあります。元代議士の世田谷区長さんが、なんかこれがいいと言って始めたモデルですが、これは、高齢者の福祉施設に勤めている人を定期的に検査するというものです。和歌山県も一時大変なときに、それに近いことをやったのですが、これもいいことだけども、ただでさえ大変な保健所の人的資源をそこへ投入してしまったら、感染者が発見されたときに、その濃厚接触者は誰ですかとか、どこかにうつっていませんかというようなことを、すぐに調査しないといけない保健所の人達が、うつっているかうつっていないかわからないような人の検査に没頭してしまって使えない。その結果、東京都で一番感染者が多い区はどこかというと、世田谷区になってしまう。それを誰も指摘しない。従って、一番下に書いてありますが、いずれも科学的データに基づき論理的に、このコロナとの戦いをしなきゃいけないということだと私は思っています。
 Cは、保健医療行政と人流抑制の政策割り当てをきちんとやっていくということです。これは声高らかに和歌山モデルだというふうに私は言いたいと思います。それと、ワクチン接種率日本一というのも、和歌山モデルですねとか言われるんですが、これは一生懸命頑張ったというぐらいの感じだなと思っております。ただこれは、和歌山県のような県が、接種率日本一になったのはおかしいと全国のマスコミの人が思ったらしくて、それで結構、報道してくれるわけです。結果として、全国の刺激になったと思います。後でご説明しますが、そこからものすごい勢いで、全国で接種に拍車がかかりました。それまで何を言っていたかというと、接種する人が足りない、要するに医者とか看護師が非協力的なので、接種ができないなどということばかり、それが当たり前のことのように、新聞に書いてありました。私は、とんでもない話だと思うんです。別に非難するわけでもなく、当たり前のことのように書いていたというのが実状ですが、どうも和歌山県が先鞭をつけたので、そんなことを言っていられなくなって、一気に前へ走り出した。これも後で言いますが、「和歌山県みたいなところが速く走れるはずがない、どうも個別接種でやったんで、クリニックが活躍したらしいが、和歌山市はクリニックの数が、都道府県の県庁所在地の中で一番高いからでしょ。」とか言う人がいて、「何を言うか」というふうに私はテレビのこちら側で怒っておりました。そうではないという証拠を後で付けております。そのようなことがいろいろあって、和歌山モデルとは何かというのは、いろんなことを言われるんだけど、基本的に、私はCがそうかなと思っています。AやBも間違いではないけれども、逆にそればかりに頼っていると間違えることになるので、和歌山モデルの考え方は、科学的データに基づき、論理的にやっていることであると言いたいのです。
 そこで、注目すべきデータを申し上げますと、次の3ページになります。

これは和歌山モデルを考える時の前提ですが、死亡率の各国比較をすると、圧倒的に日本より西洋の方が高い。日本と同じように、欧米は医療がきちんと発達して衛生観念も発達している国です。そういう国で、なぜ死亡率がこんなに違うのか。これを世の中の人はあんまり議論しません。議論する人は、日本は、土足で座敷に上がらないからいいんじゃないかとか、日本語の発音は、あまり飛沫を飛ばさないからじゃないかとか、そんなことを言う人が結構いるんですが、私は、これは絶対に、保健医療行政があるかないかの違いだと確信しています。それしか説明がつかない。ヨーロッパでものすごく感染者が増えた時、テレビを見ていると、病院の混雑が大変で、そこで命の選択をしなきゃいけないと言って、良心的な看護師さんやお医者さんが泣いているというような状態が、しばしば映っていたんです。一方、大統領や首相がロックダウンを宣言して、外出は禁止だと。日本で外出禁止なんてありえないのですが、戦前の戒厳令みたいなことになっていて、外は警官がパトロールしていて、うろうろしていると捕まるらしいという報道がどんどん出ました。それだけ強烈にやっているヨーロッパの感染状況が、なぜこんなに日本と違うんだと。また、マスコミには「どこかでは」と言って、よそは偉い、自分のところは駄目だっていう人が多いんですが、そういう人がこのことをあんまり言わないものですから、こういうことの原因が発見できないんだなと思います。
 済生会有田病院の時以来、自分が毎日一生懸命仕事している中身を、ふとふと考えてみると、これはどうも、保健医療行政がヨーロッパと日本で違うのではないかと思いました。東アジアについては保健医療行政が報道されているし、元より中国は強烈にやってるし、日本と中国の間ぐらいに韓国がいるし、そういうところでは強烈にやっているんだけど、ヨーロッパにはそういう保健医療行政って、ひょっとしたらないんじゃないかと思いました。それで、かなり知識のある厚労省の若手の人とか、医学や公衆衛生学の大権威の人に、ヨーロッパやアメリカに感染症法とか保健所というものがありますかと聞いてみたら、本当にないということを教えてくれました。欧米では、保健所という名前の役所はあるんですけど、日本で言えば、厚労省の出先機関みたいな感じで、いろんな命令をしたり基準を通知したり、指導したりはするんだけど、個々の人に対して対応するということはない。多分、ヨーロッパの国々には、感染症法の適用というのは、ひょっとしたら、ハンセン病で、我々が今反省しているような、ああいうことも起こしかねないという考え方があるのかもしれない。従って、コロナに感染してもいいから、隔離されるのは嫌だという気持ちが強いんじゃないかというふうに思います。病気になったら、自己判断で大変だと思ったら軽い人も重い人もみんな病院に行くから、現場が大混乱になる。隔離ができないからどんどんうつっていく。ロックダウンしても、家族は必ずうつっちゃいますから、そういうことで、ヨーロッパと日本の差ができたんじゃないかなと思います。
 では、日本の中ではみんな同じかというと、全然違って、和歌山などの田舎の県のように、知事が筆頭になって保健医療行政を一所懸命やっているところは、感染者も少ないし、死者も少ない。和歌山は、大阪に近いわけですから、かなり影響はあります。大阪に毎日通っている人もいるわけです。こういう人が、当然ウイルスを運んでくる可能性があるんです。だからといって、勤めに行くなというわけにもいかないし、それで主として保健医療行政で感染拡大防止を頑張ってきた結果が、このような死者数になっています。もし福祉施設などで感染が広まっていなければ、もうちょっと少なかったはずなんですが、やっぱり高齢者が感染しちゃうと命を亡くされる方も随分増えてくるというのが現状であります。
 地理的な状況からすれば、スケールは違うかもしれませんが、東京と神奈川や千葉や埼玉の関係と似ているはずですが、大阪と和歌山の関係とは全然違う姿が得られます。私の見るところ、関西は、実は保健医療行政には比較的熱心なんです。例えば兵庫県なんかは、和歌山県と同じように、全員入院ということで、やり手の井戸知事が、一生懸命陣頭指揮を執っていました。だけど感染の方が強かったんで、崩壊してしまったというのが実状だし、大阪も吉村知事の言動を見ていたら、病院の数を増やそうとか、保健所をどうしたらいいのかとか、少なくともそんなことを一生懸命考えて、対応しようとしています。だけど数が多すぎて、もうどうしようもなくなったというのが大阪の実状です。和歌山も一時は感染者数が多すぎて危ないと思ったのですが、すんでの所で止まったというのが実状で、止まらなかったのが大阪、京都、兵庫ということだと思います。
 だけど、止めようともしなければ、感染がある程度落ち着いてきてもストンと落ちないんです。関西地方は、ストンと落ち始めていますよね。ちょっと大阪が怪しいけど、兵庫とか京都とかは、ストンと落ちてきましたよね。和歌山もストンと落ちました。だけど、首都圏はあんまり落ちない。それは、人流抑制以外の保健医療行政の方の問題がやっぱり根底にあるんじゃないかと、そんなふうに思っています。少なくとも、ヨーロッパと日本を比べた時に、ファクターXがこれであると言わない公衆衛生学の専門家って一体何だろうな、と私は思っています。

 4ページです。日本には、感染症法があり、保健所があり、県の保健医療部局がそれを統括することになっています。だけど、感染症法を見ると、実は県の保健医療部局は必ずしも事細かい指揮命令を保健所に対してやることになっていないのです。しかし、現実に和歌山県でやっている入院調整なんかは、各保健所を統合して、さらに県の部局ではない和歌山市の保健所も全部統合してやっています。385人も入院患者が出たときなんかは、その時は言いませんでしたが、和歌山市の患者さんを新宮まで運んでるわけです。そうやって何とか調整できるのは、保健医療行政が保健所の上に立って、そして保健所のネットワークをきちんと作って用意していたからできるのであって、それをやらずに保健所がバラバラになっていたら、できるわけがない、ということであります。
 東京都は、大きいから今でもバラバラです。例えば、世田谷区なんて、和歌山県ほど人口がいますから、病院の数も多いし、入院調整もある程度できるかもしれない。それでも、大東京を考えた時に、区によっては空いている病床もあるし、重症患者を受け入れる能力のある病院と、普通の軽症者、中等症ぐらいまでを受け入れるのがせいぜいかなというような病院とでは、やっぱり機能が全然違うんです。そうすると、そのやりくりを上手くしないと出来ないんですが、それが一つの区の中で全部できるはずがない。都心には、ものすごい機能の高い病院がありますが、各区にあるわけではない。和歌山県でも、和歌山市と田辺市に機能の高い病院が集中していますが、残りの地域にはない。各地域の保健所が独立していたら、入院調整なんてできるわけがないんです。ですから、統合ネットワークは、こんなコロナみたいな恐ろしい病気になったら絶対に必要なんですが、やろうとしないところはいつまでたっても感染が防げないということなのです。
 それから感染症法のオーソリティーは、もちろん国で、国には厚生労働省があって、厚生労働省には医系技官がいるんです。私も国家公務員でしたが、私は文科系の事務職です。経済産業省には、医系の職員はいませんけど、厚労省にはたくさんいて、そういう人と事務職の人が一緒に仕事をしている、こういうことなんです。
 その医系の職員は、ものすごい知識を持っているはずなんですが、さらに尾身さんのような専門家を雇っていて、その人たちの意見も聞きながらやっているということなんです。しかし、この体制がちゃんと機能しているのかというと、結果から見ると、あんまり機能していないような気がするというのが私の意見です。
 では、感染症法に基づいて何をしなければいけないかというと、資料の枠の中に書いてありまして、「早期発見をする-そのために検査をする-早期隔離をする-入院調整をする-」、これをちゃんとやらなきゃいけない。陽性者の行動履歴を調査して、その濃厚接触者を検査して、そこでうつっていないかどうかを早期発見する、というのを、グルグルっと繰り返しながらやっているわけです。それを、県を中心とする保健所・病院の統合ネットワークで支えている。和歌山県は、この感染症法の正しい運用をしていると思っております。
 一方、公衆衛生学とか感染症学とかは、学問として何を教えているかと、ちょっと意地悪なことを書いてあります。おそらく、この感染症法の話が、学問の主流になることはなかったんじゃないかというふうに思います。大学へ行って、頭を鍛えるにはどんな学問をしてもいいと思います。ただ、役に立つ学問かどうかは、それはいろいろです。私は経済学部でしたが、マルクス経済学というのがあって、歴史を勉強する時なんかは、ツールとしては極めて有効な学問で、時代を何となくマクロで捉えるという時にはいいと思いますが、ミクロで統計を使いながら議論をする時に、マルクス経済学だけ勉強したんですと言ったら、なかなか役に立たない。金融政策なんかをどうしようか、オペレーションどうするんですか、なんて言ったときには、やっぱりもう一方の近代経済学、もうそういう言葉は無くなったかもしれませんが、そういう学問もきちんと勉強しておかないと、具合が悪いということだと思います。
 その時に、どうも日本の、或いは世界の公衆衛生学とか感染症学には、基本的に感染症を防ぐためには、人流の抑制が大事である、或いはそれしかないという考え方があるのではないか。早期発見、早期隔離という感染症法や保健所は、学問の対象ではなく、ついついそれらの学問の流れの中で、人流だけを考えてアドバイスをしてしまう。これが、世の中で起こっていることだと思います。人流って、ものすごく分かりやすいんです。今、私ごとき人間でも、自分の仕事としてやったから、感染症法とか保健所とかについて、ある程度わかっていますけど、本当は分かっていないことも多い。しかし、テレビで人流が多いと感染が増えますと言われたら、非常によく分かる訳です。そうかなあと思っちゃう。多分、マスコミの方も、それは分かりやすい論理だと思うし、それで報じる方も視聴者の方も、もう絶対そうだと信じてしまうというのが、日本の悲劇だと私は思っております。
 一方、欧米は人流一本槍で、ロックダウンはものすごく厳しい。とんでもなく厳しくて、日本だと、経済をどうしてくれるのかとか言うんだけど、そんなもの知るかと言ってバーンとやってしまうというのが欧米のやり方であります。

 5ページ、「マスコミが作る日本の感染症対策のメインストリーム」です。人流がすべて、人流の制限礼賛とありますが、人流の制限をやるところは偉い、やらないのはダメ、だから、経済を回すためかどうか知らないけど、何でロックダウンみたいなことをしないんだ、と言う人が圧倒的に多いわけであります。何で緊急事態宣言をして、もっと徹底的に人流を抑制しないんだ、ということです。それが唯一の手段だと思っているから、そんなふうに皆さんおっしゃるわけです。
 それで、連日の報道で大変大変というふうに言う。私のような首長が大変大変と言うと、実は何が起こるかというと、人気が出るんです。つまり、この人は、私たちに共感するものを示してくれている、同情してくれている、イタリア語でシンパーティコって言うんですけど、こういう人が一番好かれる。イタリア人も日本人と同じようにウェットな国民ですから、好かれるんですが、全ての人がそうではありませんから、私のような冷たいことを言っていると、きっと嫌われるわけです。嫌われるけど、正しいと思っているのでやっているということです。

 テレビを見ていても、もう大変です、と言っている人が結構たくさんいると思います。
 NHKを見ていても、「感染者は減りました」でも「病床の逼迫度が続いており、引き続き・・・」というテロップが出てくるし、病床の逼迫度が緩和してくると、「感染者は減りました」でも「人出はかなり増加しており、引き続き・・・」というテロップが出てきます。どうも私は、専門家と称してテレビに出てくる人の見解を見ていると、「自分の庭先は綺麗にする、悪いのは他の人」というふうに言っているとしか思えません。病院の関係者が出てきて、「医者グループは本当に疲弊して大変だ、だからどうしてくれるのだ。」と言えば、次は「人流を抑制しろ、オリンピックなんか止めてしまえ。」とか言う話に飛んでいく。要は、自分のところへ来なければいいということなんです。
 和歌山県は、絶対そんなことを言いませんけれども、保健所が大変だと言ったら、保健所の親分である人が、保健所に仕事をこれ以上持ち込まないでくれ、忙しくて死にそうだから人流を抑えろ、とこういうふうに言っているわけです。政府の専門家や、地方の首長や、政府の官僚もみんなそういうことを言って、自分のところへ飛んでこなきゃいい、あの人が悪いというのが、本当は問題なんです。自分がコントロールできるところは一生懸命頑張りますということを言っていたら、あんまり人気が出ない、ということであります。
 一方で、じゃあどうなるかというと、飲食店なんかが打撃を受けます。人流を抑制すれば、当然そうなります。飲食店や旅行業者なんか、もう上がったりで、悲惨な経営になります。この悲惨な経営を連日大報道して、「大変、大変」と言う。「感染をどうするんだ。大変、大変。」と報道し、感染を抑えようと思って、人流を抑制しようとすると、また、「経営が大変で悲惨。大変、大変。」と報道する。一番ひどい目に遭うのは、すべてに責任がある、地方であれば私ですけど、国で言えば総理大臣です。もうどっちにしても「大変、大変」と言われて、総理も大変だろうな、というふうに思うわけです。しかし、「大変、大変」と言っている人は、割合人気が出ます。

 6ページです。では、和歌山県はどうするかということですが、左側に書いています。感染防止には、保健医療行政で基本的には対応します。そのために、県の保健医療部局、保健所の職員やそれに繋がっている病院の方々に一身に負担をかけてきたんです。その負担をかけた責任は、私にあるわけですが、大変な思いをさせながらここまで頑張ってきたというふうにご理解いただきたいと思います。
 そのために、「頑張れよ、死ぬまで働け」というと、これは無策ですから、体制の強化に次ぐ強化をしてきました。保健医療部局や保健所は、コア業務に特化させて、別に保健所でなくてもできる残りの業務は、周りの応援隊がどんどんやっていく。例えば、コロナ感染の初期に何が起こったかというと、コロナが流行ってくると、みんな怖がっていますから、保健所にバンバン電話がくるわけです。その当時、テレビを観ていたら、保健所の人が電話対応で忙殺されていました。こんなことを放置している首長は、はっきり言うと、感心しません。和歌山県は、初動のときから、保健所では苦情処理とか質問とか受け付けないでよいように、それは県庁の本庁でやることにしました。それで、回線を用意して、24時間体制で、どんどん受け付けました。初めは、みんなコロナが怖いから、答えられないような、今から考えるとどうかと思うような質問もどっさり来るわけです。それを保健所に対応させるようなことはしてはいけない。それから、コア業務以外は、周りの応援部隊が対応をして、コア業務にもちょっと増員をして、頑張ってもらえるようにしました。後ほとご説明しますが、検査機器もどんどん充実して、病床も、これは病院関係者と野尻技監が立派なんですけど、どんどん協力して増やしてくれました。
 そして、生活と経済の再生のために、制限は最小限にしようと言いました。これは、とにかく感染を抑え込めばいいんだということで、一途に抑え込むようなことはしないわけですから、その分だけ、私のところにいろいろな批判がいっぱい来るんです。批判はしなくても、心の中で知事は何をしとるんだと思っておられる人は、たくさんいらっしゃったと思います。だけど、制限は最小限にしないと、生活と経済がめちゃくちゃになると思ったので、あえてしなかったということです。
 それから、実務には細心の注意を払い、果断にスピーディーにいろんなことをやっていくのですが、大変大変と危機感はあおらないように心がけております。それを首長がすると、人々のマインドが沈んで、本当に生活と経済が傷むからです。
 資料の右側、某県というのはいろいろ混じっていますが、和歌山県の対応と反対のところはというと、保健医療行政は各保健所任せで、統合システムはなし。一方、経済が大変ですから、協力金はどんどん高くなっていきます。協力金は、出せる県と出せない県があるんです。和歌山県なんかは当然出せない県ですが、むちゃくちゃ高く出せる県はどんどん出して、貯金が今やなくなったということです。大変大変と、私はできるだけ言わないようにしましたけど、大変大変と毎日言い、県民が協力してくれないから、そして、国はどうしてくれるのですか、とずっと言っている知事もいる。そういうことが報道されると、ものすごく人気が出ます。だけど、物事の解決にはならない。これが日本の悲劇だと思います。

 和歌山県は、何も県民の皆さんにお願いしないかというと、そうではなくて、これだけは気をつけてくださいという事について、7ページに載せてあります。

 8ページです。そういう政策のミックスをした結果、どうなったかということを、観光を例にあげて申し上げたいと思います。去年の緊急事態宣言は、全国が対象だったので、和歌山県も本当にシャットダウンをするように頑張ったんですが、その時に、観光なんかは当然ガタガタになりました。その後、ほとんど感染もゼロになって緊急事態宣言が解除されたときに、これでいいのかということをいろいろ考えて、先ほどの政策のベストミックスを考えました。そこで、一般的な行動の自粛の要請はやめました。でも、あえて言うと、「安全な外出、安全な生活に心がけてください、具体的にはここに書いてありますから」という形でやってきました。それで、だんだんと政策が実ってきまして、旅行者数は、去年の10月~12月期には対前年同期比92.9%ぐらいまで回復していました。よしよしと思っていたのですが、第三波が年末から年始にかけて起こり、悪いのは旅行と飲食だと、専門家に決めつけられた。和歌山県では、第三波の前までは、観光客からうつされたというのは多分なかったんじゃないかと思うのですが、専門家の発言の影響で一気に熱が冷めて、ドーンと落ちてしまいました。前年がよかったので、全国よりも落ち込みが大きかったというのが実状です。通年で調べると、資料の下表のとおりとなっていて、今また、これからどうやって回復させていくかということを考える時期になっているわけです。

 9ページでは、ちょっと難しいことを言っています。
和歌山県の政策、すなわち、資料の目標のところの「コロナの感染防止」は、手段としては保健医療行政で行います。それから、「経済・生活の再生」は、「十分な行動・営業」と書いてありますが、和歌山県では、行動・営業をあまり阻害しないようにして、やっているわけです。これが、経済理論ではどうなるかというと、実は、「コロナの感染防止」と「経済・生活の再生」というのは、独立の目標なんです。その二つの目標に対して、一つの政策手段だけで対応しようとすると、二つの政策目標の二つとも達成することは難しい。
 難しいことを言っていますが、これは常識なんです。例えば、「コロナの感染防止」と「経済・生活の再生」を人流の抑制だけで、つまり「行動・営業の自粛」だけでやろうとすると、人流の抑制をきつくすれば、コロナの感染防止はかなり達成できるだろうけど、経済・生活はぐちゃぐちゃになってしまうということです。それが逆なら逆になるということで、その一つの線の上で、右へ行け、左へ行けといって、総理大臣などは攻め立てられていますが、それは違うんじゃないかと思います。本当は、「コロナの感染防止」には保健医療行政で対応し、「経済・生活の再生」には「十分な行動・営業」を保障するということなのです。ただ、本当の危機になったら、経済・生活は一時棚上げしてでも、人流抑制に頼るしかない。和歌山県でも4月中旬から6月初旬ぐらいまでは県民に行動自粛の要請をしました。

 10ページです。和歌山県では、全員入院を最後まで堅持しました。和歌山県では当たり前のことに思われているかもしれませんが、全員入院を堅持したのは福井県と島根県と和歌山県で、自然に出来たのは鳥取県ということになっていて、残りのところは、自宅療養やホテル療養なんかも基本的には使いながら対応していくということでありました。
 なぜ、和歌山県が全員入院にこだわるかというと、これは危ないからなんです。どう危ないかというと、一つ目は、急激に悪化して命の危険がある、二つ目は、他の人にうつすリスクがあるということです。他の人にうつすというのは、どうしても家族にはうつる可能性が高いし、それから、自宅療養で家から出てはいけませんと言われても、コンビニで買い物しないと生活ができないので出かけてしまう人も結構いるし、見張っているわけじゃないので、やっぱり、うつすリスクは高くなります。 それから、資料に書いていますが、急激に悪化するということが、データで分かります。全員入院させるから分かることですが、陽性判明時に無症状であった人が383名、そのうち、無症状のまま退院した人は70名しかいません。その後どうなったかというと、軽症で終われば結果オーライでよろしいのですが、これも161名。残りの152名の方が、実は肺炎になってしまっています。それだけ聞いてもかなり深刻なんですが、肺炎でかなり悪くなって酸素吸入を必要とした人、これを放置していたら死んでしまいますが、酸素吸入をしているから助かったという人が31名もいるわけです。その中でも、これは危ないとICUに入って、ものすごい手当をした人が5名、そして死んでしまった人が6名います。無症状のときに入院させても、6名は死んでしまっています。それは基礎疾患があったということかもしれないけど、31名の酸素吸入を必要とした人から先は、命の保障ができないという現状です。
 死亡率は、他県でも383分の31ほどは高くありませんが、自宅で若い人が急に死んでしまったということが結構報じられました。資料の一番下、毎日新聞が調べたそうですが、48名の人が自宅療養・入院待機中に亡くなっています。だから、やっぱり重症になるかもしれないんだから、軽症でも入院をしていただいて、病院でちゃんと看護を受けながら回復していただくようにするしかないということが、我々の考えです。これに対して、反対をする人もいますが、このデータから論理的ではないというふうに思います。それから、国は、第二波ぐらいの時から、感染者が増えてきて、入院がままならぬという状況の中では、もう自宅療養でいい、むしろ「自宅療養を基本とし、」なんて、そういう滅茶苦茶なことを言った時もあります。自宅療養でいいですよ、ホテルでもいいですよ、病院でもいいですよ、それぞれ考えてください、とこういうことを言っているから、病床を増やすようなインセンティブがなかなか生まれないということもあるんじゃないかなって思います。

 11ページです。「働け働け」と言って、精神訓話だけで人を働かすというのは絶対間違っています。だから、ちゃんと装備を付けなきゃいけない。検査能力をこんなふうに強化しましたし、病床の確保も必死になってやって、病院の協力で、感染ピーク時には470床を確保しています。それから、保健所の応援もいろいろやりました。危機がいっぱいあったんですが、全て動員して何とか乗り切ってきたというのが現状です。

 12ページには、変異株の恐ろしさを書いています。変異株は感染力が強い。それから、重症化しやすい。以前は、重症化するのはお年寄りとほぼ決まっていたんですが、やっぱり若い人でも、随分重症化する人が出てきました。そういう意味では、甘く見てもらったらいかんというふうに思っています。
 それから、これはちょっと邪推である可能性があるんですが、第三波から第四波に移るときに、和歌山とか大阪は相似形に増えていったり減っていったりしたんです。つまり第三波でガクッと減って、第四波でまたウワーッと増えた。和歌山、大阪なんかは相似形ですが、東京、或いは首都圏は違う動きをしていて、第三波の落ち込み方というか減り方、これが随分遅れたんです。いつまでもずるずると相当数の感染者がいた。おそらく東京から、せっかく収まっていた関西にどんどん入ってきて、それが変異株だったもんですから、一遍に関西で大爆発になってしまったと私は思っています。和歌山も同じです。ただ、これは、反証がいろいろできるかもしれないし、それだけでは言えないと言う人もいるかもしれません。
 さらに、アルファ株の次にデルタ株も流行ってきて、これも大変です。だけど、ワクチンは有効のようです。
 関西は変異株でめちゃくちゃになってしまいました。先ほども言いましたように、保健医療行政の熱意と充実は、首都圏よりも関西の方がはるかに高い。なぜならば、私は広域連合長ですが、メンバーの知事や市長とで二つのことを毎月しているからです。一つは、いつも保健医療行政を頑張ろうねと申し合わせをしている。ひと月にいっぺん集まっては、そういう議論をしています。それから、常に、それぞれの経験を出し合って、他所の県はこういう良いことをしているということを勉強しているわけです。我々が真似させてもらったものもありますし、和歌山県は割と成績がいいので、いろんなところが和歌山県の真似をしてくれてると思います。
 そういうことで関西全体で頑張って来たのですが、一時、4月25日の緊急事態宣言発令時の1週間の10万人あたりの感染者数は、1位大阪、2位兵庫、3位奈良、5位京都、6位東京、9位和歌山。なんとこの時期は、和歌山がベストテンに入っていたわけです。それでこれはいかんと、危機感がいっぱいで、まん延防止等重点措置区域にしてもらおうかとか思ったこともあって、実は内閣官房に相談もしているんです。その時は、ちょっと難しいということでした。なぜならば、「和歌山県は全員入院で、入院率が常に100%でしょう、他所はそんなことはない。だから、和歌山県がまん延防止等重点措置区域になったら、全国全部が対象ですよ。」というような話でした。そんな話をしているうちに、ちょっと感染が落ち着いてきたので、よかったんですが、一時はそんなことまで考えていました。

 それを考えた時の状況は、13ページにあります。こんな大変な時でしたが、上から2番目、入院率は100%です。危なかったときもありますが、ずっと100%です。

 14ページは、今の状況です。直近ではこんなふうになっています。ここまで、何とかやって参りました。

 15ページをご覧ください。関西は随分回復をしている。でも、東京が危ない。前に、大阪が危ないと言ったら、何やら維新に反対の大阪の方が応援の投書をしてくれた反面、その逆の人からは、大阪に何を言うのかとすごく怒られたんです。実は、大阪はちゃんとやっているんだけど、それがもう対応不能になってきた時に、気力を失ってはいけないよ、保健所は頑張れ、というふうにエールを送ったつもりだったんですが。今度はエールというよりも、本当に危ない気がすると思っています。感染者数も、東京や神奈川は伸びてきています。抑え込み方を見ても、10万人あたりの新規感染者数で見ると、関西の方はドタンと抑え込んだんですが、東京、神奈川は抑えてはいるけども抑え具合はちょっと少ないな、ということです。
 関西広域連合でも協力してやっているし、全県的入院調整システムの有無を調べたら、どこの県でもあるんですけど、それが本当に機能しているかどうかという点については、やっぱり関西の方が機能しているような気がします。
 それから、テレビに出てくるトップの言動。テレビをご覧いただくと、トップがどこに関心があって、どこを一生懸命やろうとしているのかの違いがわかると思います。

 16ページ、17ページは、ワクチンの話、「ワクチンしかない」ということです。初め厚労省は、3億回分を確保したと言っていて、これはすごいねと和歌山県庁の中で言ってたんですが、それは間違いでした。なぜならば、契約という概念がわかっていなかった人たちが言っていた。申し込みをすれば、全部くれると思っていたんです。商業ですから、ちゃんと契約をして、権利義務関係を発生させないと、欲しいと言ったって、くれるはずがないわけです。
 それから優先順位と打ち手の話です。例えば、一番初めは、医療関係者は県で、高齢者以下は市町村でやりなさい、となっていました。それで、その体制を作り、市町村の中には、県が相談に応じたり、いろいろ支援しないとなかなかできないところもあるから、1月ぐらいだったと思いますが、体制を作って、みんなで相談するようにしました。だから、和歌山県は、かなり前からお医者さんのリクルートも含めて、体制はでき上がっていて、陣形を作って、今にもワクチンという弾が来たらすぐ突撃できるような体制になっていたわけです。実際に来たんで、それやろうと言ってやったんですが、実は、その弾が少ないわけです。県は、今まで市町村に早く体制を作るようにと言っていたのに、ワクチンがなかなか来ないので、大変文句を言われました。それで、国に対して、これでは次に進めませんという話をしに行ったわけです。時あたかも、同じことを考えた人がいまして、これは多分菅総理だと思います。総理は、大変実務的な能力に優れた人なので、ワクチンしかない、ワクチン接種を早くさせろと言っていましたが、厚労省があると言っていたワクチンがないということがわかったので、河野さんを登用して、突破力を作ろうとした。それでも、なかなかままならないんで、高齢者については、7月末までに全部やってしまえと強烈に命令を発した。
 そしたらなんと、日頃何も本件では言ってこない総務省まで、局長が「仁坂知事、7月末までに高齢者に全部打ってください」とわざわざ電話してきました。私は「何を言っているのか。そんなものはワクチンが来さえすればお茶の子さいさいであるが、ワクチンが来ないんだ、ワクチンをちゃんと送れ」と言ったら恐縮されてましたけど。その時総理が、高齢者は7月末までと言った本当の目的は、すべてのことをできるだけ早く終わらせろということで、これが正しい命令なんです。だけど、部分命令だったので、全国で7月末までに、高齢者を終わらせることが一番大事だとなって、役人達が動き出した。その結果、先行している和歌山県は高齢者だけなら7月末までに打てるだろうというので、あんまりワクチンをくれなくなったわけです。和歌山県は、早くから進めているので、接種率ナンバーワンでテレビで有名になったんですが、実はそれは、在庫率ワーストワンということです。在庫がなくて、もう今にも弾切れになるかもしれないという状態を、一番早く迎えそうなのが和歌山県ということになったんです。「そんなんでいいんですか、早く終わらすのが一番大事なんでしょう。和歌山県は高齢者を打ってしまったら、その次のステップに動こうとしてるんです。弾がないから、今立ち止まってる状態なんです。だからこれはナンセンスです、早く下さい。」と言ったら、河野大臣はじめ国がすぐに動いてくれて、接種率が高い上位5県に、申告通りワクチンを送るということにしてくれたので、和歌山県は、今どんどん前に進めているわけです。
 前後しましたが、30市町村の取り組みです。一番自分の町にふさわしいやり方があります。和歌山市だとクリニックが多いので、クリニックに協力していただいて、個別接種でやった方が絶対いい。和歌山市の当局の見解が正しい。正しいけれども、その代わりクリニックのリクルートというのは、プレッシャーをかけながら強力にやらないと、ちょっとしか進みませんから、和歌山市も一生懸命やってくれたし、和歌山県も側面から支援をしました。その結果、初め100人ぐらいで始めた個別接種が、和歌山市では今280人体制ぐらいになっています。和歌山市は、個別接種の医院の名前を公開しました。それでどうやら、うちのかかりつけ医の先生はやってくれないのかとかいう話が、市民からどんどん出たらしいんです。そういうことが極めて賢いやり方だったというふうに私は思っています。
 だけど、地方の方、人口が少なく面積が大きいところは、お医者さんもちょっとしかいません。そこで個別接種でと言ったってできるはずがない。だから集団接種でやったり、町の職員が、町の車にお年寄りを乗せて、ずっと山の奥から接種会場まで運ぶということまでやっている。それだけ一生懸命やってくれたわけです。
 それから、例えば有田管内では、隣の町と一体だから、一緒にやらせてくれという話があって、厚労省にその都度全部かけ合って、共同接種をしている事例もあります。   

 今、和歌山県の高齢者のワクチン接種率がどうなっているかというと、17ページにあります。65歳以上の高齢者接種率が1位と言われていた時は、5月の中旬ぐらい、その後、実はずるずると順位を落としています。これは、当然初めから予想されたことで、和歌山県は、和歌山市がそうですし個別接種で接種しているところが多いわけです。やれと号令をかけても、そんなに1日にたくさんできないわけです。だから、直線的に増えていくわけです。ところが、のんびり構えていた他県の大きな町が、和歌山県なんかに負けてたまるかと、猛烈に力が入ったんです。拍車がかかった。それで、大規模接種がどんどん進むようになって、今、和歌山県は、少しずつ順位を下げています。しかし、短期的に順位が下がったって別に構わないんです。できるだけ早く終わらせるというのが、和歌山県の目標なので、そのために、欠けているところがあったら、また手直しをしながら進んでいけばいいということだと思います。
 さらに進めるためには、集団接種と職域接種を加えていかないといけません。河野大臣のところに行きますと、「ファイザーはあんまりないので、さらに進めるためには、モデルナを使ってください。モデルナとファイザーを一緒にすると、やり方が違うので、混乱が起こりますから、集団接種、職域接種は、モデルナでやってください。それを市町村での接種に加えていただければ、どんどんもっと送りますから、もっとスピードアップができるでしょう。」ということでしたので、職域接種、集団接種も始めることにしました。
 和歌山市の集団接種は、ファイザーを使ってやっていますけど、残りの職域接種はみんなモデルナです。モデルナは難しいと言う企業などを何とか県が説得して、ようやくやってくれるようになった。ところが申請したら、モデルナはどうも、無くなってきたらしいということで、申請ストップとなってしまった。どのぐらい無いのか、単に混乱しているだけなのか、よくわかりませんが、そういうことらしいので、これはまずい問題じゃないかと思っています。
 スピードアップのためには、県庁も職域接種をしようと決断して、7月の初めぐらいから始まります。1ヶ所でやらないといけないというので、警察職員や教職員も入れて、9,000人ぐらいの規模でやります。本当は紀南とか紀中とかもやりたいんですけど、準備をしていたら、申請ストップになってしまったので、今のところ認められているのは、紀北の9,000人です。
 県庁だけなぜ先にやるのか。全体を早く終わらせるためにはどうしたらいいのかというと、今、市町村で行っている個別接種、集団接種のスピードは、キャパシティがあるので、これ以上早めることはできませんから、市町村で接種を希望する人の数を減らせばいいということです。数を減らすには、集団接種ないしは職域接種を進めればよくて、そこで打った人は、市町村には申請しないわけですから、混雑しないんです。そんなことで、県庁の職域接種もやろうとしてるんですが、モデルナがあるかなというのが、今、心配です。

 その次に、18ページ。これは笑い話みたいな話ですが、和歌山県は、診療所数が多いからワクチン接種が早くできるんでしょうと言う人がいます。和歌山市は、確かに東京都区部と県庁所在地全部入れて人口あたりのクリニックの数が一番多い、ナンバーワンです。
 ちなみに言うと、和歌山県全体の医師数は、ある程度多いんですけど、ダントツトップに多いわけじゃない。和歌山県全体のクリニックの数でいうと、かなり多いけど医師数はトップではない。これは、算数のわかる人ならすぐわかりますが、病院勤務の医者の数は、かなり少ないということになるんです。だから、コロナとの戦いとか救急医療とか、最後の砦とか、そういうところで頑張ってくださっているお医者さんの数は、決して楽天的に考えることはできない。本当に少ない人員数で、コロナなんかも頑張ってやってくれているということを、皆さんわかってください、ということなんです。
 元に戻りますと、県別でワクチン接種率を一位から順に並べております。今、和歌山県は8位ですが、診療所数でトップテンに入っているのは、なんと和歌山県だけです。つまり、診療所数とワクチン接種のスピードは、ほとんど関係がない。何がワクチン接種率の決め手かというと、和歌山県のように早くから体制を整えて、行政が急げ急げと頑張ろうとしている県と、ぼーっとしている県の違いです。ドクターの数だと言わないで欲しい。どうもテレビっていうのは、和歌山県などが活躍すると、何となく、変なところに原因があるんじゃないかといって、探してしまうようです。

 19ページ、コロナで見えてきたものを申し上げたいと思います。
 四つあります。
 一つ目は、東京一極集中が崩壊しようとしていると私は思います。
 二つ目は、製造拠点の国内回帰が絶対進むぞというふうに思います。これは、ある程度というぐらいの感じだと思います。
 三つ目は、オンラインとDX。これが今後の経済発展の決め手になるだろうなということであります。
 四つ目が戦略的投資プロジェクト。
 この四つですが、まず20ページ、東京一極集中の崩壊の話です。

 コロナ前までは、東京一極集中が問題だとずっといろいろ言われ続けているけれど、実は東京一極集中がまだどんどん進んでいて、都心の一角にどでかいビルを建てて、そこに優秀な人を集めて、いろんな仕事をしているということだったのです。しかし、コロナが流行りだした。人が集まったらコロナが普通にうつるに決まってるわけですから、会社のためには、人員を分散させないといけない。そこで、テレワークを強烈に始めました。
 私もいろいろ企業訪問をしていますが、東京では、大体社員が3割いるといいところです。ほとんどガラーンとしていて、いません。テレワークになっている。テレワークは、最初は嫌々やったと思います。だけど、テレワークをやってみたら、意外と生産性は落ちなかったし、これでいいじゃないかというふうに考えたと思います。
 その次に、経営者が何を考えるかというと、同じような業績だとすれば、東京の都心にみんなを集めて、ビルを維持したり、高い家賃を払ったりするのは無駄だというふうに絶対考えます。従って、まず一番初めに起こるのは、不動産大不況です。不動産大手の人に和歌山にちょっと投資した方がいいんじゃないですかと言ったんですけど、どうも嫌われたのか、全く動きはありません。だけどそれは明らかにそうだと思うし、最近新聞なんかでもそういう記事が出始めています。
 では、和歌山にチャンスはあるかというと、あるような、やっぱりないようなという状況なんです。ないような方から言うと、テレワークが盛んになり、1週間に1回しか会社に来てくれなくていいよとなった時に、人々はどうするかというと、通うことを前提にして、近いけれども家賃が高い、生活環境が悪いというところに住み続けるよりは、1週間に1回しか来なくていいんだから、2、3時間電車に乗ったって構わないということで、従来の郊外じゃなくて、うんと遠くの、大関東圏の端のまだ向こうとか、ちょっとイメージで言うと、房総の先とか軽井沢とか福島県とか、そういうところから通ったらいいんじゃないのとみんな思い始める。もうちょっと近い方がいいなとなれば、高尾とか秩父とかにしようかなとか、そういうふうにどうも考えているんじゃないかなと思います。

 和歌山は、1週間にいっぺん必ず通うには遠いので、ちょっと工夫をしないと、この東京一極集中から流れ出てくる人や物をなかなか奪えない。これは、営業努力が大変だということで、21ページです。
 またとないチャンスだけど、何もしなくても人が増える、地価が上がるというのは、大関東圏だけです。努力をしないと、和歌山にはチャンスがない。では、どんな努力をしないといけないかというと、資料に書いてありますが、4方面戦略を立てて頑張るということです。
 一つは、企業誘致をしなきゃいけない。それも企業の全部門来てねと言うと、なかなか難しいので、例えば、今流行りのIT企業なんかは、ある開発部門の一つを和歌山に移し、一つは北海道に移す、そういうふうにして、ネットワークで商売しませんかと、こういうことを一生懸命言おうとしているわけです。
 二つ目は、転職なき移住。これは、企業の方ももっと進んできていて、例えば富士通が今標榜していますけど、富士通に勤めている人は、富士通という会社のオフィスに来ないでよろしい、富士通のために貢献しなさい、どこにいてもよろしい、こういうことなんです。大分県なんかは、富士通と協定を結んで、富士通の人に大分はいいですよと宣伝してもらうことをやろうと、もうすでに先鞭をつけております。和歌山県もずっとアプローチしていますので、近くそういうふうになっていくと思います。これは、どこまで進むかというのは、ちょっとよくわからないですけど、極端なことを言えば、移住はするが転職はしない、という話もある。
 この逆は副業です。和歌山で副業をしてもらう。東京なんかで、ちょっとテレワークをして、副業してもいいよと言われた人に、和歌山の企業に週1回とか月1回来てもらって、企業として欠けてる部門を一生懸命やってもらう。そういうやり方もあるかもしれない。これは、住民は増えませんけど、企業の力は増える。
 それから個人移住。これは従来型の田舎暮らしです。この田舎というのも、最近変わってきて、従来は、今もそうですけど、那智勝浦町の色川とかが脚光を浴びていたわけですが、和歌山市でいいんじゃないか、田辺市でいいんじゃないか、橋本市でいいじゃないか、こういうふうに思い始めている人が随分いる。どこが嫌だっていうと、東京23区や大阪の中心は嫌だということで、田舎の町がいいと考え始めている人もいます。このような個人移住型もターゲットとして考えなきゃいけない。
 もう一つは、農林水産業。これは、ものすごい憧れの職種になりつつあるわけです。
 だけど、どんなふうにアプローチしていくかというと、移住と同じように、全部条件がそろってないといけない。まず、時々は、本社なんかに行かないといけないから、インフラもきちんとしなきゃいけない。高速道路もいるし、白浜空港も関空も頑張らないといけないし、JRもあんまり便数を落としてもらったら困るとか、そんなような話がいっぱいあります。だけど、和歌山県はこの点が格段に改善されてきているんです。もうあんまりインフラが駄目だから、和歌山県は駄目だと言わせないで済むようになりつつある。
 アクセスというのは、時間距離で測ったときにどうかということなんですが、白浜なんかは東京まで飛行機で70分ですから、考え方によっては、こういうところもいいかもしれません。それから、コロナが明けた瞬間に、海外との関係が一気に爆発しますから、関空にものすごく近い、この紀北の領域は、全くいいところなんです。海外と完全に繋がっているところなんです。だからそういう意味では、いいぞと宣伝をしないといけない。
 それから、オフィス。ボロボロのオフィスで、通信も整備されていないというのは困ります。いちいち建てるとなると、よその既に建っているところに行きますよということになるので、オフィスの整備は必要です。先ほど言いました大手不動産業者に、和歌山県に受け皿を作りませんかと誘ったのはこの話なんです。
 その次は、住宅です。マンションが好きな人はいいかもしれませんが、嫌いな人もいます。そういう人からすると、和歌山市内ですら、もっと言えば、和歌山市以外のところは、東京からすれば、一戸建ての住宅が大邸宅ですよね。それが格段に安い価格、或いは借り賃で、手に入るわけですから、全く条件がいいわけです。
 だけど、教育はどうかという話になります。皆さん教育熱心ですから、和歌山へ行ったら、子供の教育環境がイマイチになって、いい大学に入れなくなりますというのは困るんです。しかし、よく見れば、教育環境もちゃんと整えています。受験校もあります。
 それから、保育。東京などは、保育園の待機児童がいっぱいいるんです。和歌山市はちょっと最近出てきていますが、頑張ってくれているので、ほとんどゼロに近いところまでいつも下げてくれてます。そういう点では、保育環境はすごくいいですと言えます。
 それから医療、これも和歌山県の医療水準は結構なものなんです。例えば、日赤医療センターという名前の日赤の病院があるのは、和歌山と東京の本部だけです。ものすごく立派なレベルの人たちがいっぱい結集している。県立医大のレベルも高い。それから、和歌山県のコロナの対応を見て欲しい。和歌山県は、感染者の面倒をちゃんとみて、やっているでしょうと。救急医療なんかも、大阪や奈良の人が、和歌山で三次救急を受け入れてもらっていたという状況でした。実は、医療は和歌山県の方がいいですよというようなことが言える。
 こんなに条件がそろっていますよ、と和歌山県内で言っていてもしょうがないので、右の絵のようなパンフレットにいろいろ書いて、私も含めて和歌山県の職員が、今、どんどん営業に回り始めているところです。
 さらに、ワンストップ支援というのが必要です。「ちょっと和歌山に興味があるんだけど。うちの社員百人ぐらいを転勤させようと考えていて、住宅のいる人とか教育が心配な人とかいろいろいるんだけど、面倒見てくれる?」と言われると、「わかりました」と言って県がお世話をする。ということで、今コロナで大変ですけど、感染しないように配慮して、東京や大阪にもどんどん営業に行けと、私は言っています。

 22ページです。その次に製造拠点の国内回帰ということです。実は、最近、随分長く空いていた工業用地が、次々と埋まり始めました。紀の川市の用地も、和歌山市の西浜、雑賀崎の用地も空きがありませんし、橋本市の用地も売れてしまいました。それで、今、橋本市に「あやの台北部用地」を造っていて、そろそろ商談に入れるぞというところです。それから和歌山市のコスモパーク加太もまだまだ空いているので、そういうところも商談に行こうとしています。他にも御坊市の用地とか、無いことはないので、こういうところもあるぞと頑張っていこうと思っています。
 ただ、国内回帰といっても、どんなフィールドで投資があり得るかということを、我々は必死になって勉強しながら、企業にセールスをしに行かないといけないということだと思います。

 23ページです。最後の一つは、オンラインとDXの話です。背景は、やむを得ずオンラインを始めたということですが、結果オーライだったというのがいっぱいあります。
 例えば教育。コロナでオンラインでしかできないから、オンラインで授業を始めたんだけど、オンラインに出てくる先生は、すごく教え方が良くて、うちの担任の先生より良かったというような話が結構ある。そうすると、コロナが収まってみんなが学校へ行く状況になっても、一番初めに教え方の上手な人にオンラインに登場してもらって、それを元にして、担任の先生が、進捗度をチェックしていくなんてことをやれば、より頭に入ります。それからレベルの高い子は、家で自習する時に、オンラインでちょっとレベルの高いものを聞く、なんてことができます。いろんな工夫が実はできるんです。教育委員会は今一生懸命、これをどうやったらいいかということを考えて、やろうとしています。逆に言うと、教え方が下手だけど、俺は教師だと威張っているだけの人は、ひょっとしたらやばいかもしれないというような時代になってきました。
 それから、オンライン医療。これも遠くの大病院へ行くのは大変だから、オンラインの遠隔医療を認めますと厚労省は言いました。これは、全部、搬送するのは大変ですから、普段からきちんとやれるようにした方が絶対いいんです。今は通信環境が発達しているから、オンライン診療とオンライン医療ができれば、それに越したことはない。そのためには、これは規制と課金。医療費を誰がいただけるか、そういうことについて、厚労省がきっちりと制度設計をしていけば、これは進むはずです。ただこれも、そんなことしたら、自分の患者さんが取られるといって、抵抗する人が出てくるとまたややこしい。こういう、社会が進む時には、抵抗勢力が出てきますので、うまく制度設計をしていかないといけないのではないかと私は思います。
 それから行政のDX、これが絶対に決め手になります。
 皆さん、昨年10万円の定額給付金をいただきました。その10万円をいただいた時に、何でこんなに時間がかかるのかという問題があった。和歌山県がなぜ早かったかというと、デジタルにはあまり頼らなかったからです。郵便で申請書が届いて、それで申し込んだら口座に振り込まれるということで、各市町村は大変だったけど、うまくやったんです。
 けれども、マイナンバーカードを持っていて、レコーダーに読み込ませると、連動した自分の口座にすぐに10万円が振り込まれるとなると、ものすごく簡単です。10万円について言えば、審査をしなかったわけです。詐欺かどうかなんて審査なんかしていない。本人であることが確認されれば、誰でも必ずくれたわけです。あんな簡単なことが、なんであんなに馬鹿馬鹿しく時間がかかったかというと、行政のDXが世界で一番くらい遅れているからです。これはいかんとみんな思い始めて、菅総理もデジタル庁を作るぞと言って頑張っておられますが、和歌山県はぜひ先行しようと思っています。
 それで、この関係では、市町村の行政手続きが圧倒的に多いのです。県もありますけど、市町村が多い。その市町村が一生懸命やろうとしたら、何が起こるかというと、突出してできるところとできないところが出てきます。突出してできるところも、システムを1個1個注文するから、費用が結構高くつくわけです。もう一つは、ようやく次の町ができても、互換性が全然ないということになったら合理的でない。ですから、こんなのはコストダウンや互換性とかも考えてやっていかないといけない。そこで、和歌山県総務部市町村課が中心になって、各市町村とギリギリとこれから議論して、コロナのワクチンの時みたいに、いろいろみんなで相談して進めていこうじゃないか、そういうことを今考えているところです。
 それから産業のDX、これは画一的にできるものではないと思います。行政のDXと同じように、互換性とかが要求されるところがたくさんあると思いますけども、一番大事なことは何かというと、企業の経営者の方が、とにかく積極的にこれを採用して、自分の会社の業績をどうやったら上げられるかということを、一生懸命考えることであります。和歌山県は、これに対して、企業が相談できる仕組みと助成する仕組みを作っています。これは国も一緒で、国のお金が出る場合もあるわけです。事業革新とか、事業転換とか、中小企業庁に1兆円ぐらい予算がありますが、これを使えるのではないかと思っています。
 それから最後に、24ページです。

 プロジェクトがこれだけたくさんあります。今のままでいいと思わずに、こういうプロジェクトを新しく追加していかなければなりません。今後30年間、今と同じだけの貢献をしていただける産業分野、企業というのはあんまりないんじゃないか。中にはうんと伸びる企業もあるけど、駄目になる企業もあります。伸びる企業は多分、企業の中でいろいろ転換をして、今のままではない形になったから伸びた。今のままでいいと思って、じっとしているところは、だんだんと相対的に沈んでいくので、地域も沈んでいく。だから、新しい投資案件みたいなものを見つけてきて、和歌山県に導入していかなきゃいけないっていうのは、歴史が教えるところだと思います。
 みんな大変ですけど、和歌山県はそういう考え方でやっております。
以上です。ありがとうございました。