輝け ゴミひろいボランティア活動

 少し前になりますが、2月23日、県民文化会館で和歌山市ボランティア連絡協議会主催のボランティアフォーラムという催しがあって、和歌山県のコロナ対策とそこから発展して、若者を元気づけるような話をしてくれませんかというお話がありました。これはまたむつかしいお話を。コロナと若者を元気づけるような話をどうくっつけたらよいのかと大変悩ましいのです。しかし、野尻孝子技監(当時)と一緒にということでしたので、まず野尻さんにコロナ対策を思い切りやってもらって、私はそれを補いつつ、若者を元気づける話をしましょうということにしました。
 明らかに志の高そうな大勢の方が大変熱心に聞いて下さったのですが、終った後とても若そうな目のきらきらした青年が寄ってきて、自分はゴミひろいのボランティア活動をいているのだが、別途おじゃまして、お話をおうかがいしていいですかといってきました。もちろんいいですよ。和歌山にいる日程で、和歌山研究会の事務局とアポの打合せをしておいて下さいと言いおいて別れました。
 そうしたら、3月28日、NPOクリーン&コネクト和歌山の代表の幸前青空さんがお見えになりました。青空と書いて「そら」と読むそうです。聞いてみたら、まだ21才、大学受験に失敗して、某組織で任期付き職員として働きながら、とりわけ和歌山城公園のゴミひろいをやっているそうです。はじめは4人で始めましたが、今はメンバーも増えましたし、メンバーのみならず、うんとお年寄りも含めて、50人からの人がそれこそボランティアのゴミひろい活動に参加して下さるとのことでした。私はいつも自分を超えたもののために尽くすのは楽しいと言っていますが、まさにゴミをひろって、愛する和歌山城をきれいにすると、とても気持ちがよいし、大勢の仲間ができて、また楽しいと言っていました。

 いくら楽しいことでも、大勢で、しかも継続的にやるとなると、リーダーの組織化能力が必要となってきます。まして21才の若さで自分の祖父ぐらいの年配の方々とも一緒に仕事をするということは、けっこう大変な才能がいると思います。
明るくボランティア活動を語る幸前さんには、その才が備わっているのでしょう。

 さらに聞いてみると幸前さんの行動力は中々すごいものがあります。国交省や農水省の本省の中堅幹部や大物官僚とも何故か仲良しになって色々な面で応援をしてもらっているようです。もちろん、県庁の担当部局の面々とも仲良くなって、そのうちの1人から、東洋大学の学長が某新聞に寄稿をし、東京の青年館(これも彼は別件で上京した折に見学に行って、よく勉強をして感銘をうけて帰ってきています。)に範をとったような青年が集う拠点がいるという主張をしているぞと教えてもらい、その主張に感動して、学長に面会を申し込むのです。それも誰かのつてを頼ってというわけではなく、大学の代表にアプローチをし、事情背景を説明してお願いをするわけですが、どんどんと上司につないでもらって、ついに電話面談のアポをとることに成功したそうです。
 私は、これぞ、対外活動の極意だと思います。見ず知らずの人に徒手空拳で乗りこんで(電話ですが)とうとう目指す学長の了承までとってしまうというのは中々普通できるものではありません。

 彼は、常にものを考えています。自らの将来もそうですが、現に勤務している所で、こうしたらもっと便利になるのにという、トヨタでいうと「カイゼン」を提案します。といっても、上から下まで「カイゼン」提案には好意的に取り組もうとするトヨタのような職場ではありませんので、上司の理解を得ることはそう簡単ではないようです。杓子定規の理屈を言って現状を変えようとしない人。それならばとうんと上の人に学長の時と同じ手を使ったのでしょうか、しのびよって意見具申をしても「そのとおりだ、それはできる」と言ったきり、具体的に何の行動もおこさない人がいることなど、色々と興味深く聞かせてもらいました。

 明るくて、利発そうだが、まだまだとんがっていたり、それ故に人から反発や妬みや嫉みを受けたりと大変な事はいっぱいあるでしょうが、楽しみな人材です。私が知事の時代だったら「県の営業活動なんかやらせたら即戦力(・・・)」だというでしょう。以前からも、そういう若い人には随分多くお目にかかりました。将来の日本や和歌山は楽しみです。