和歌山県政策集等について

 最近いろいろな方に会った時、私が知事の時代の和歌山県の政策に関してご質問を受けることが多々あります。ご説明をすることはやぶさかではないし、私もおしゃべりは嫌いな方ではありませんから構わないのですが、いちいち説明をしていると何度か同じことを言わざるを得なくなって、さすがに面倒になることもあります。そこで、これを見てよと言いたいのが、私が退任前に自分も張り切って、かつ部下の方達にも大いに頑張ってもらって作った和歌山県政策集です。元々は私から岸本新知事に対する実質的な引き継ぎ資料として作ったのですが、世に言う引き継ぎ資料というのは、大抵は部下の役人が作った無味乾燥なものをいうのが通例で、どんなものかというと、政策の目録みたいなものなわけです。しかし、それでは新知事にあまりにも失礼であろうし、新知事が分からないことがあったら県政の停滞を招くと思って、ちゃんとしたものを作ろうとしました。そこで、私もよくよく目を通して作ったのが、和歌山県政策集と和歌山県史料集と和歌山県懸案集です。特に和歌山県政策集は、和歌山県で私の知事時代に力を入れて展開した政策を説明したもので、分かりきったものは現実に動いている政策でも大いに省いたのですが、それでも92項目の多数に上りました。また、その際なぜこういう政策を行なったかについての動機付けないしは考え方を必ず内容に盛り込みました。なぜかというと、政策は、毎年実施しているうちに、ともすれば、この動機付けとか考え方が忘れられていきますから、これを忘れないようにするためにです。政策にはそれを必要とする背景や環境があります。それが変わっているのに同じ政策を惰性で続けているのは、無駄もいいところだし、逆にこのような背景が未だ残っているのに、行革の数合わせなどで当該政策をやめてしまっては不都合な現実が発生してしまいます。したがって、新知事には政策の概要はもちろん、そのよって来る背景や考え方も理解して頂こうと考えて和歌山県政策集を作ったのです。
 そこまで考えたら、こういう話は新旧知事と県庁の一部職員だけが分かっていればいいというものではなく、広く県民の方に理解してもらっておくべきものだと言う考えに達して、広く公開しようと思うに至りました。そこで、私の退任の記者会見の時にこれを公開資料として発表しました。そこまではしていませんが、和歌山県史料集も、和歌山県懸案集も同じような考えで県民に見てもらうべきものだと私は思っています。資料集は、行革プランとか、財政収支見通しとか、イベント一覧、プロモーション一覧と言った資料の集合です。また、懸案集は、仁坂知事時代に政策のやりかけになったり、宿題になったりしたもので、新知事にそれを裁くことを期待するものですが、知事交代の最中に裂け目に落っこちてしまわないように資料化したものです。岸本知事が部下の説明を聞いたり、県下の方の要望を聞いたりするとき、それは何だろうと思ったら参照してもらったらいいと言う考えで作りました。これら二者は公表手続きは取りませんでしたが、作成者は何でもオープンが好きな私ですから、はじめから県民の方に誰でも見て頂いたらいいというセンスで作りました。

 仁坂知事時代の和歌山県の政策にご興味のある方は、もちろん私に聞いて頂いても結構ですが、この和歌山県政策集を見て頂いたら大抵の重要項目の概要はすぐ分かります。県庁ホームページからは2022年12月16日の知事記者会見の記録から取り出せますし、情報公開請求をしてもいいでしょう。また、和歌山研究会でも和歌山県政策集をホームページの資料の中に入れておきますので、そちらから見て頂いても結構です。電子媒体は大嫌いという方のためには、和歌山研究会の事務局に紙コピーを少し用意しましたのでどなたでもお貸しします。(印刷代がかかるので、お貸ししますからお返し下さい。)

 実は新知事への実質的な引き継ぎ資料として作った資料はもう一つあります。それは「和歌山県のガバナンスの強化のために」というタイトルの資料で、これははっきり言って仁坂知事時代の失敗事例集です。私はこう見えても政策の決定の時には職員と徹底的に議論して、よく理解してもらってから、政策を実行に移すと言う手法を採っていました。政策を最終的に決めて責任を取るのは知事ですが、実際に様々な手続きや行動によって政策を実行してくれるのは職員だからです。ところが、このようによく議論して納得してもらって実施してくれているはずの政策が実施されていなかったり、別の方向に走っていたりと言うことが何回かありました。こういうときは、私は職員の面従腹背だと思って大いに怒るのですが、よく調べると誤解だったり、良く聞いていなかったりというケースが多いのです。しかし、こういう時、なぜこういう齟齬が発生したかと言うことをよく詰めておかないと、また同じような失敗をする恐れがあります。ただ怒っているばかりではいけないのです。そこで、何故こういう意思の疎通を欠く事態が起こったかをきちんと記録に残しておくことが必要だと私は考えました。それがこの第4の実質的引き継ぎ資料です。露骨に言うと、仁坂知事の職員への意思伝達失敗の巻なので、新知事に笑われそうで恥ずかしいのですが、こういうことが起こると言うことを新知事にご理解していただくことが和歌山県政運営に必要だと判断してあえて作りました。何でもオープンな私ですから、これも県民に公表しようと言ったのですが、そればかりはやめてくださいと皆に羽交い締めにされたのでこれは非公表ということにしました。

 以上のような経緯がありましたが、繰り返しますが、私の知事の時代の和歌山県政についてご関心がおありの方は、特にある政策が何故実施されるようになったのかお知りになりたい方は和歌山県政策集をご覧下さい。
 以下に、和歌山県政策集の全文PDFファイルと目次一覧、そして和歌山県政策集を発表した時の私の記者会見録を付けておきますのでご参照して下さい。

和歌山県政策集←全文のPDFファイル

2022年12月16日知事記者会見

 もう一つ、政策集ですが、なぜ作ったかというと、私は(知事を)16年やっていて、職員と話をしていると、政策がいっぱいあり、それぞれちゃんとやってくれていますが、最近、頓に、なぜそんなことをやっているのか分からなくなっている人が随分いる。すべての政策は、論理的に理由、「なぜ、どうして」があってやっていて、そうでないと無駄な政策になる。それで、「なぜ、どうして」の方を忘れると融通も利かなくなるし、「なぜ、どうして」の状況が無くなっている場合は(政策を)止めればいいし、「なぜ、どうして」の状況がまだまだ続いているのに、急に止めたり行革したりすると無茶苦茶になる。だから、「なぜ、どうして」が大事で、そういうことをきっちり残しておかないといけないが、担当職員がひょっとして忘れているとすれば、それを新知事に伝えることもできません。そういう意味で、一つは、新知事に対する引き継ぎとして作りました。もう一つは、考えてみたら、新知事だけにこっそり言う話でもなく、全部が公開資料で、その都度、こういう意味やこういう理由でやっていると発表しながらやってきた話なので、改めて、県民の皆さんに対する備忘録として発表し、残しておいてもいいのではないか。そういうふうに思いましたので、今日発表させていただきます。
 (政策は)たくさんありますが、改めて「なぜ、どうして」を言わなくてもいいと思うような中身が、他にたくさんあります。それについては省略しているので、この政策集が仁坂県政の全ての政策集ではない。もっとたくさん(政策は)あるけど、これは言っておかないと心を忘れるかなと思うような話は、一応、載せたつもりです。