最近経済産業省の役人の不祥事がよく報じられます。原発の報道で、TVでもすっかり有名になった西山英彦審議官が、女性職員と浮気をしている場面をスクープされて役職を降ろされました。西山審議官は、私もかつてそうであった通商政策局担当の審議官で、地震直後の広報がもたもたしているので、急遽抜擢されて原発の事故対応をしていました。誰がやっても難しそうな役割を率直な物言いでよくこなしていたと思います。ところが、不倫です。それを報じた週刊新潮の記事を見ると、本人もすべて否定していないようですから、記事の細部はともかく全面的に根も葉もない話ではないのでしょう。そもそも私は浮気は嫌いですが、相手が部下で、色々と相談に乗った挙句の成行きだというのが記事内容ですが、それが真実であるとしますと、管理職としての立場からもかなりよくないことだと私は思います。私の部下だった頃の有能であるばかりか、実直で誠実であった西山君の記憶からは、想像ができません。
一方資源エネルギー庁の木村雅昭次長のケースはもっと衝撃的でありました。ここ1~2ヵ月どうも休職しているらしい、体でも壊したらしいとの情報が入っていましたので心配をしていましたら、インサイダー疑惑で取り調べを受けているとの報道があり、ガックリしました。報道だけで真偽を確かめもせず、色々言うことは極めて趣味が悪いのですが、これが真実であると、とても悪いことです。仮に真実でなく、少し本質が違うものであっても、経済産業省の要職にある人は、そういう疑惑を招きやすいわけですから、株取引からは遠ざかっているべきでしょう。私も先祖伝来の、主として母親が運用してくれていた株を保有していますが、何か言われても嫌なので、証券会社に預けてずっと凍結をしていました。知事になった今も、知事の仕事からすると、こういうインサイダー取引の可能性はなさそうなのですが、それでも何か言わると嫌なので、ずっと続けています。その結果、はっと気が付いたら、JALの株がパーになってしまったように、後で考えると損をしたなあと思う点もけっこうあります。木村君は和歌山県警にも出向し、ずっと熱心にいい仕事をしていたし、いい意味でのたくらみも出来、正しいと思うことは上司や権力者にもガンガン言える勇気のある立派な後輩と尊敬していたので、正直がっくりしています。
私は経済産業省でたくさんの経験をさせてもらったし、いつもカンカンガクガクの角のある議論を周囲とはしていましたが、先輩、同僚、後輩、総じて、立派な人々に囲まれて、幸せだったと思っています。もちろん、いっぱい人はいますので、浮気しそうな人間や、ちと正義感に欠けるかなという人間もいましたが、西山君も木村君もそういうタイプとは決して思っていませんでしたので、本当にがっくりです。変な政治主導がはびこるここ1~2年の間も、他省に比べると、大臣等政治家との関係もうまくやり、日本の官僚としての誇りも失っていないように思えたのですが、一体何が起こっていたのでしょうか。
卒業生としては、大変残念でありますが、残された諸君には、日本のためにまた滅私奉公をしてほしいし、私の方は、和歌山県のトップとして、自分自身厳しく身を律するとともに、一騎当千の県庁職員を作り上げ、かつ西山君や木村君のような轍は踏まないようにきちんと指導をしていかなければならないと肝に命じています。