脳の話

 和歌山県立医大の板倉学長は脳外科の権威です。ただ学問及び医者としてえらいというだけでなく、脳に関する色々とためになる話を世間に話しておられるし、著作も多く残しておられます。
最近、そのうちの1つの「戦国武将の脳」という話をいただきました。和歌山が生んだ文豪津本陽さんとの対談集です(東洋経済新報社)。早速読ませてもらいましたが、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄、上杉謙信など武将の行動をもとに、それぞれの人がどういう脳の機能の特徴があったかを論じておられます。その中で、さらに、事をなすには、あるいは立派に生きるには、どういう脳の使い方をしなければならないかの教訓を述べてくれています。いずれの話もおもしろかったのですが、読む片端から忘れてしまいましたので皆さん読んでご自身で味わって下さい。
さらに最近板倉先生が有名な精神科医の和田秀樹さんと対談したのが載っている「理念と経営(2011年12月号)」という雑誌(コスモ教育出版)をもらいました。これは実にためになるお話が載っていましたので、どちらかというと和田氏の見解が多いのですが御紹介します。

①最近うつ病がとても多いが、白か黒かを決めつけようとする人が苦しむので、悲観的な  事があっても「すべてがそうではない、こういう可能性もある」「いい事もありゃ、悪い事   もあるさ」とグレーを認める能力をつけることが大事だ
②入力型の勉強ばかりしないで、成果を発表する出力回路を作ってやると勉強もはかど  る
③「やれそうだ感」を与えることが大事。「どうせ私なんか○○はだめ」と思わないことが大   事で、そう思わせないようなほめ方、指導の仕方が大事
④達成感を味わっているとどんどん伸びるので、大企業(有名受験校)に入ってビリでい   るより中小企業(普通の高校)に入って上を目指す方がよい
⑤若い頃我慢や苦労をさせた方が将来伸びる。逆に年をとってから急に我慢をしようとす  ると精神がおかしくなりがち

 なるほど、なるほどと思いました。

 県庁の仕事にひきくらべて考えると、若い頃は大いに苦労して、難しい仕事に挑戦してがんばろう。でも耐えてばかりいないで、また上に従ってばかりいないで自分で考えて、しかもそれをどんどん発表して提案しよう。そしてうまくいかなかったら、「全体はこけたけど、いい所もあったし、まあ、苦労は将来の栄養だから、まあいいや」と思いましょうということでしょうか。