総評論家時代

 和歌山には魅力的な所がいっぱいあります。世界で二つしかない道の世界遺産、高野、熊野があるし、ほれぼれするような海岸美やうっとりするような渓谷美や、緑の山々や、よりどりみどりの温泉や日本有数の文化財やパンダやタマちゃんまで。様々な果物が年中採れ、色々な美味しい魚がどっさり、人情はほのぼの、他国の人でも温かく迎え、産業も結構いい線で、偉人もいっぱい出ている、といった調子です。しかし、どうも全国的にこれが認知されていない点があります。
 そこで、多くの人が「もっと売り出さにゃ」とおっしゃるのでその通りでありますが、私も県庁の諸君も秘術を尽くして必死でそのための具体的な努力をしておりまして、例えば、最近、TVや旅行誌のような専門誌に和歌山特集が結構出るようになりました。しかし、まだまだ満足するところには行っていません。どうしたら、もっと売り出せるか、それを皆で日夜考えて、さらに少しでも可能性がある所があれば果敢に実行する必要があると思っています。
 しかし、「もっと売り出さにゃ」とおっしゃる方の中にそう言うだけでおしまいという人が結構おられるのです。和歌山県には100万人の人が住んでいて、知名度も高く、県外のお知り合いもたくさんいらっしゃる方もいます。そういう方が和歌山のいい所を勉強していただいて(注)、「どうだい!」とお知り合いに自慢して下されば、個々の力は弱くとも、どんどんと大きな力になるのではないでしょうか。
 一般に、「これはこうしなくては」と人に言うだけで終わっていたら、あんまり世を動かす力になりません。我々はそのような例をTVの解説者とか評論家とか呼ばれる人達のものの言い方の中に典型的に発見することが出来ます。皆がこういう人達のことを真似たら、一億総評論家の世になってしまいます。具体的に工夫して実行してみる、皆が実践の人になれば、必ず世はよくなると信じます。

 (注)和歌山についての知識を何でも簡単に知ることができる教材を作りました。
    「わかやま何でも帳」(和歌山放送発行)です。